catch-img

第1回:CDEとは何か?建設業界における情報管理の新常識

はじめに:建設業界の情報管理の転換点

建設業界では、報告書や工程表などのドキュメントデータ、写真などの画像データ、CAD図面やBIM/CIM等のモデルデータなど、膨大な情報が日々生成されています。それらの情報はローカル環境、社内サーバ、クラウドサーバなど、様々な環境で管理されているのが現状です。

適切なデータ管理がなされていない場合、以下の問題を引き起こす可能性があります。

  • 最新版の図面がどれかわからず、特定に時間がかかる
  • 設計と施工で使っているデータが異なっていた
  • 維持管理に必要な情報が引き継がれていない

こうした情報の分断は、手戻りや品質低下、責任の不明確化など、現場のリスクを高める要因となっています。

このような課題を解決するために、今注目されているのが CDE(Common Data Environment/共通データ環境)です。

目次[非表示]

  1. 1.はじめに:建設業界の情報管理の“転換点”
  2. 2.CDEとは?
    1. 2.1.CDEの基本機能
    2. 2.2.従来の情報管理との違い
  3. 3.BIM/CIMとの関係性
  4. 4.CDEの導入がもたらすメリット
    1. 4.1.業務効率の向上
    2. 4.2.品質と安全性の向上
    3. 4.3.コスト削減とリスク回避
  5. 5.CDEは単なるシステムではない
  6. 6.おわりに:次回予告
  7. 7.伊藤忠テクノソリューションズの取組み

CDEとは?

CDEとは、建設プロジェクトに関わるすべての情報を一元的に管理・共有するためのデジタルプラットフォームです。

CDEの基本機能

以下はCDEの基本機能です。特にBIM/CIMを活用するプロジェクトでは、CDEの導入が不可欠とされています。

機能

内容

情報の一元管理 

図面、BIMモデル、写真、報告書、工程表などを一か所に集約

関係者間の共有

発注者、設計者、施工者、協力会社などが同じ情報をリアルタイムで確認

バージョン管理

図面やモデルの更新履歴を管理し、最新版を明確化

属性情報の活用

ファイルに工種、位置、時期などのメタデータを付与し、検索と分析を容易にする

従来の情報管理との違い

従来の情報管理は紙ベースやローカルファイル中心で、以下のような課題がありました。

  • 情報が散在し、探すのに時間がかかる
  • 誰がいつ何を更新したかが不明
  • 同じ図面の異なるバージョンが複数存在
  • 情報の引き継ぎが困難で、維持管理に活かせない

CDEを導入することで、これらの課題を根本から解決できます。情報は資産として蓄積・活用されるべきもの。この考え方が、CDEの根幹にあります。

BIM/CIMとの関係性

CDEはBIM/CIMと密接に連携することで、設計・施工・維持管理の情報をつなぎます。

  • BIM/CIMモデルの共有: 3DモデルをCDE上で管理し、関係者が同時に閲覧・コメント可能
  • 属性情報の活用: BIM/CIMモデルに付与された属性情報をCDEで検索・分析
  • フェーズ間の情報連携: 設計→施工→維持管理の情報が途切れずに引き継がれる

CDEはBIM/CIMの「情報流通基盤」として機能し、デジタルツインの構築にもつながる重要な役割を担っています。

CDEの導入がもたらすメリット

CDE導入のメリットについて主な3点を説明します。

業務効率の向上

  • 情報探しの時間を削減
  • 最新版の図面・モデルを即座に確認
  • コメントや承認の履歴を一元管理

品質と安全性の向上

  • 設計変更の即時反映による施工ミス防止
  • 過去の施工履歴を活用した予防保全
  • トレーサビリティの確保による責任明確化

コスト削減とリスク回避

  • 手戻りの削減
  • 再発防止策の共有
  • 維持管理コストの最適化

CDEは単なるシステムではない

CDEは単なるファイル共有システムではありません。業務の進め方そのものを変える仕組みです。

導入にあたっては、以下のような視点が重要です。

  • 業務フローとの整合性: 誰が、いつ、何を登録・更新するかを明確に
  • 属性情報の設計: 検索、分析に使えるメタデータを定義
  • 現場への教育と支援: ITリテラシーの差を埋める体制づくり
  • 運用ルールの整備: 権限管理、承認フロー、履歴管理など

おわりに:次回予告

CDEは、建設業界の情報管理を根本から変える可能性を秘めた仕組みです。しかし、その価値を最大限に引き出すには、業界が抱える情報分断の課題を正しく理解することが不可欠です。

次回では、「なぜCDEが必要なのか?」をテーマに、建設業界の情報管理の現状とリスク、そしてCDEによる解決策を具体的に掘り下げていきます。

伊藤忠テクノソリューションズの取組み

伊藤忠テクノソリューションズでは、今回の記事に関連した「建設業向けのDXソリューション」を提供しております。

データ管理およびCDE導入に関する課題をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。

 

 

【関連記事】

“事例一覧は下記をクリック‼”


人気記事ランキング


キーワードで探す



 

関連記事

伊藤忠テクノソリューションズの科学・工学系情報サイト

 

ページトップへ戻る