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第3回:超音波解析で見抜くインフラの内部損傷

はじめに

都市インフラの老朽化が進む中、予測型メンテナンスの重要性が高まっています。前回はFEM解析による構造物の応力・変形の予測について紹介しましたが、今回はもう一つの中核技術である「超音波解析」に焦点を当てます。

超音波解析は、構造物の内部状態を非破壊で検査できる技術であり、目視では確認できない亀裂や空洞、腐食などを高精度で検出することが可能です。橋梁、トンネル、水道管など、都市インフラの安全性を確保するために欠かせない手法となっています。

目次[非表示]

  1. 1.はじめに
  2. 2.超音波解析の仕組み
  3. 3.都市インフラへの応用事例
    1. 3.1.橋梁の内部亀裂検出
    2. 3.2.トンネル壁面の空洞調査
    3. 3.3.水道管の腐食診断
    4. 3.4.建築物の構造部材検査
  4. 4.超音波解析のメリットと課題
    1. 4.1.メリット
    2. 4.2.課題
  5. 5.予測型メンテナンスとの連携
  6. 6.今後の展望
  7. 7.次回予告
  8. 8.伊藤忠テクノソリューションズの取組み

超音波解析の仕組み

超音波解析は、構造物に超音波を照射し、その反射波や透過波を解析することで、内部の異常を検出する技術です。基本的な流れは以下のとおりです。

  1. 超音波センサーを対象物に接触または近接させる
  2. 高周波の音波を構造物内部に送信
  3. 音波が内部の亀裂や空洞に当たると反射・散乱
  4. 受信された波形を解析し、異常の位置や大きさを特定

この技術は、金属、コンクリート、複合材料など、さまざまな材質に対応しており、構造物の種類を問わず広く活用されています。

非破壊検査については下記記事でさらに詳しく説明しています。こちらもご参考ください。

都市インフラへの応用事例

橋梁の内部亀裂検出

橋脚や桁部に対して超音波解析を行うことで、外観では分からない微細な亀裂を検出できます。これにより、事故の予防や補修計画の立案が可能になります。

トンネル壁面の空洞調査

トンネルの壁面に空洞や剥離がある場合、崩落のリスクが高まります。超音波解析により、壁面の裏側の状態を可視化し、補強の必要性を判断できます。

水道管の腐食診断

埋設された水道管は、外部からの点検が困難です。超音波解析を用いることで、管内の腐食や亀裂を非破壊で検出し、漏水事故の予防につなげることができます。

建築物の構造部材検査

鉄骨やコンクリート部材に対して超音波解析を行うことで、施工不良や経年劣化による損傷を早期に発見できます。

超音波解析のメリットと課題

メリット

  • 非破壊で検査可能:構造物を壊すことなく内部状態を把握できる
  • 高精度な検出:微細な亀裂や空洞も検出可能
  • 幅広い材質に対応:金属、コンクリート、複合材などに適用可能
  • 検査時間が短い:現場で迅速に診断が可能

課題

  • 表面状態の影響:粗い表面や塗装があると精度が低下する場合がある
  • 専門的な解析技術が必要:波形の解釈には熟練が求められる
  • 検査範囲の制限:一度に広範囲を検査するには工夫が必要

予測型メンテナンスとの連携

超音波解析は、予測型メンテナンスの中で「現状把握」の役割を担います。検出された損傷情報をFEM解析に反映させることで、構造全体への影響を定量的に評価することが可能になります。

また、IoTセンサーやAIと連携することで、リアルタイムでの状態監視や損傷予測が可能となり、よりスマートなインフラ管理が実現します。

今後の展望

超音波解析は、今後さらに進化し、ドローンやロボットによる自動検査、クラウド連携によるデータ共有、AIによる波形解析などが進むと予想されます。

これにより、都市インフラの保全がより効率的かつ安全に行えるようになるでしょう。

次回予告

次回のブログでは、FEM解析と超音波解析を組み合わせた予測型メンテナンスの実装事例や、今後の展望について詳しく紹介します。都市インフラの未来を支える技術の融合にご期待ください。

伊藤忠テクノソリューションズの取組み

伊藤忠テクノソリューションズでは、今回の記事に関連したソフトウェアとソリューションを提供しております。

ソフトウェアの開発・販売だけでなく、それらのカスタマイズ開発や技術サポート、コンサルティングサービスもご提供しています。予測型メンテナンス、超音波解析で課題をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。

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