国土強靭化基本計画とは? メリットと防災・減災への対策
日本は地理的・自然的な特性から地震や台風などの自然災害が多く、人命・財産の喪失やライフラインの停止などのさまざまな被害を受けてきました。
これらの被害を最小限に抑えるために、内閣官房では“国土強靭化基本計画”が進められており、民間事業にもこの取り組みに協力するように呼び掛けています。
この記事では、国土強靭化基本計画の概要と取り組むメリット、防災・減災の対策方法などを紹介します。
目次[非表示]
- 1.国土強靭化基本計画とは
- 2.国土強靭化基本計画に取り組むメリット
- 2.1.①事前の取り組みで被害を縮小
- 2.2.②施策(事業)のスムーズな進捗
- 2.3.③地域の持続的な成長、地方創生
- 3.防災・減災への対策
- 4.伊藤忠テクノソリューションズの自然災害に関するソリューション
- 5.まとめ
国土強靭化基本計画とは
国土強靭化基本計画とは、『国土強靭化基本法』に基づいた活動を指します。過去の大災害を教訓として、近い将来に起こることが予想される自然災害に備えた取り組みです。
“強靭化”という言葉は、被害を最小限に抑えられる“強さ”と、すぐに復興できる“しなやかさ”を兼ね備えた社会を目指す目的で使われています。
国土強靭化基本計画には、以下の4つの目標があります。
▼国土強靭化基本計画の目標
- 人命の保護が最大限図られること
- 国家および社会の重要な機能が致命的な障害を受けずに維持されること
- 国民の財産および公共施設にかかる被害の最小化
- 迅速な復旧復興
これらの目標を達成するには民間企業の協力が不可欠です。内閣官房は民間事業の取り組み事例をホームページで紹介したり、評価制度を設けたりして、事業への支援強化を進めています。
民間企業の具体的な取り組みは、以下のとおりです。
▼民間企業の取り組み例
- 防災に関する商品やサービスを提供する
- BCP(※)を策定して自らを守る
- 自治体と支援協定を締結して地域を守る
※BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)とは、企業が緊急事態に遭遇した場合、損害を最小限にとどめつつ、事業の継続や早期復旧を可能にするために、平常時に行う活動や緊急時の事業継続のための方法・手段を取り決めておく計画のこと。
出典:内閣官房 国土強靱化推進室『国土強靭化進めよう!』
国土強靭化基本計画に取り組むメリット
ここからは、国土強靭化基本計画に取り組むメリットを紹介します。
①事前の取り組みで被害を縮小
1つ目のメリットは、災害が発生した場合、被害を最小限に食い止めることができるという点です。
平時から対策を行うことで、被害を最小限に抑えて、復興・復旧にかかる期間も短くできます。
事前の取り組み例としては、以下の内容が挙げられます。
▼事前の取り組み例
- 地域の防災⼒強化
- 企業のBCP策定促進
- 地域と⺠間事業者との連携促進 など
出典:内閣官房 国土強靱化推進室『国土強靭化進めよう!』『国土強靱化地域計画策定ガイドライン(第6版)基本編』
②施策(事業)のスムーズな進捗
国土強靭化基本計画に関わる施策・事業の計画を策定して、優先順位を明確にすることで、施策をスムーズに進められることもメリットの一つです。
地域計画を策定する際には、脆弱性評価や対応方針の検討を行います。策定後に各部署が共通の目標を意識して、部署間の相互理解や情報共有が進むことで、施策がスムーズに進捗することが期待されます。また、関係府省庁所管の交付金や補助金の支援も行われています。
出典:内閣官房 国土強靱化推進室『国土強靭化進めよう!』『国土強靱化地域計画策定ガイドライン(第6版)基本編』
③地域の持続的な成長、地方創生
3つ目のメリットは、強靭化の推進によって地域の持続的な成長や地方創生に貢献できることです。
地域計画を策定する際は、国土強靱化と地方創生を効率的・効果的に連携させる発想を持つことが大切だとされています。地域の強靭化は、大規模災害への対応力を増進させて、地域の持続的な成長や地方創生も促すことが期待できます。
▼地域の持続的な成長の例
- 大規模自然災害への地域の対応力の増進
- 地域計画を周知することによる投資の呼び込み
- 地域活性化と強靱化の取り組みを併せて推進する
▼強靭化に連携させる地方創生の取り組み例
- 安心して働ける地域づくり
- 地域振興・若者定住
- 地方とのつながりの構築 など
出典:内閣官房 国土強靱化推進室『国土強靱化地域計画策定ガイドライン(第6版)基本編』/内閣府 地方創生推進事務局『まち・ひと・しごと創生「長期ビジョン」「総合戦略」「基本方針」』
防災・減災への対策
国土強靭化基本計画の対策には、主に“風水害や大規模な地震への対策”と“インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策”の2つがあります。
風水害や大規模な地震への対策
気候変動による暴雨・水災害や首都直下型地震など、今後の大規模災害に備えて今から対策を講じることが求められています。
風水害や大規模な地震への対策は、主に2つの対策に分けられます。
1つ目は“人命や財産の被害を防止・最小化するための対策”です。
▼人命や財産の被害を防止・最小化するための対策
画像引用元:内閣官房 国土強靭化推進室『国土強靭化進めよう!』
2つ目は“交通ネットワーク・ライフラインを維持して、国民の生活を支えるための対策”です。
▼交通ネットワーク・ライフラインを維持し、国民の生活を支えるための対策
画像引用元:内閣官房 国土強靭化推進室『国土強靭化進めよう!』
出典:内閣官房 国土強靭化推進室『国土強靭化進めよう!』
インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策
社会資産の老朽化対策も国土強靭化基本計画の対策に該当します。
具体的には、インフラの維持管理にかかるコストを抑制しつつ機能を維持して、メンテナンスの生産性の向上や労働力を確保することが挙げられます。そのためには、デジタル技術を活用した予防保全型のインフラメンテナンスへ転換して効率化を図る必要があります。
また、地方公共団体や民間企業、地域住民と連携・協働したインフラメンテナンス対策も不可欠です。
▼インフラメンテナンスへの老朽化対策例
画像引用元:内閣官房 国土強靭化推進室『国土強靭化進めよう!』
出典:内閣官房 国土強靭化推進室『国土強靭化進めよう!』
伊藤忠テクノソリューションズの自然災害に関するソリューション
伊藤忠テクノソリューションズ(以下、CTC)では、地震災害、土石流、土砂崩などの自然災害に対する防災・減災、インフラの老朽化に対するメンテナンスに関わる解析ソリューションを提供しております。
▼解析ソリューション例
ソリューション名 |
特徴 |
SoilPlus(地盤・浸透・耐震統合解析システム) |
|
UDEC/3DEC(2次元/3次元個別要素法解析プログラム) |
|
FLAC/FLAC3D(2次元/3次元有限差分法解析プログラム) |
|
PFC(2次元/3次元粒状体挙動解析プログラム) |
|
また、防災・減災・メンテナンスに関わるソフトウェアの開発、販売だけでなく、それらのソフトウェアを利用した受託解析や、ソフトウェアのご使用に際しての技術サポートも行っております。
詳しくは下記資料をご参照ください。
まとめ
この記事では、国土強靭化基本計画について以下の内容を解説しました。
- 国土強靭化基本計画とは
- 国土強靭化基本計画に取り組むメリット
- 防災・減災への対策
- 伊藤忠テクノソリューションズの自然災害に関するソリューション
国土強靭化基本計画とは、大規模自然災害に備えて人命保護や被害の最小化、経済社会の維持と迅速な復旧復興のための取り組みです。
取り組むメリットには、被害の縮小や施策の効率化、地域の持続的な成長などが挙げられます。風水害や大規模な地震への対策や、インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策などの防災・減災対策も、国土強靭化基本計画の取り組みの一つです。
伊藤忠テクノソリューションズでは、地盤・浸透・耐震統合解析システムや、2次元/3次元個別要素法解析プログラムといったシミュレーション技術を活用したサービスを提供しております。
科学システム本部の提供するサービス詳細については、こちらもご参照ください。
engineering-eye:SoilPlus(地盤・浸透・耐震統合解析システム)
engineering-eye:UDEC/3DEC(2次元/3次元個別要素法解析プログラム)
engineering-eye:FLAC/FLAC3D(2次元/3次元有限差分法解析プログラム)
engineering-eye:PFC(2次元/3次元粒状体挙動解析プログラム)