個別要素法(DEM)とは?理論と建設・製造業におけるシミュレーション事例のご紹介
個別要素法(DEM)は、建設業界や製造業界など、さまざまな分野で使用される解析手法です。この手法は、物体や粒子の挙動を細部までシミュレーションすることができます。
個別要素法(DEM)は1971年にCundall氏により提案され(1)、数十年以上にわたり発展してきました。近年では多くの現象・問題に対し適用されています。
本記事では個別要素法(DEM)の理論から適用事例までご紹介いたします。
(1) PFC V7.0マニュアル
目次[非表示]
個別要素法(DEM)の概要
物体を個々の粒子や多角形の要素でモデル化し、そのそれぞれの運動を追跡する数値解析手法です。粒子の間の力や相互作用を計算し、物体全体の挙動をシミュレーションすることができます。
これは、粉体流動、岩石の崩壊、粉砕など、微小な粒子が関与するさまざまな現象を研究するために使用できる強力なツールです。
個別要素法(DEM)の理論
個々の粒子の運動方程式と粒子間の接触モデルにより計算されます。
粒子同士の力や反発力、摩擦力などのパラメータを指定し、時間とともに物体の挙動をモデル化します。
個別要素法(DEM)では、粒子同士の衝突や摩擦などの相互作用を解いているため、材料のミクロな挙動も追跡することができます。
個別要素法(DEM)の応用分野
土木業界や製造業界など、さまざまな分野で幅広く応用されています。
土木業界では、地盤の沈下、土砂崩れ、石垣(2)やブロック壁の安定性の解析などに使用されます。
また、製造業界では、粉体の流動性や撹拌プロセス、粉砕・混合過程の最適化などを研究するために活用されています(3)。
個別要素法(DEM)は、粒子1つ1つの挙動をモデル化することができるため、より効率的な設計や製造工程の開発に活用することが可能です。
(2)伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 ホームページ
https://www.engineering-eye.com/interview/user/07/index.html
(3)髙橋 功一, 吉野 絢, 野内 泰平, 加納 純也, 石原 真吾, 有山 達郎, 気孔構造を考慮した離散要素法による高炉内コークス破壊現象のモデル化, 鉄と鋼, 2019, 105 巻, 12 号, p. 1108-1117, 公開日 2019/11/30
個別要素法(DEM)のシミュレーション事例
建設業界における個別要素法(DEM)の適用例と製造業界における個別要素法(DEM)の適用事例をご紹介します。
建設業界では、個別要素法(DEM)が幅広く活用されています。地盤の安定性や変形など、DEMは材料の力学的な特性を調査するためにも利用されています。
大変形を伴う材料のひび割れや変形などの挙動をシミュレーションすることも可能です。
材料の変形シミュレーション
土砂崩れの再現
一方、製造業界でも個別要素法(DEM)は多く活用されています。
例えば、粒子の動きを評価するために使用されます。材料の加工プロセスをシミュレーションすることで、生産性を高めることができます。また、材料の流動性や混合性を評価するためにもDEMが活用されています。
2種類の材料の攪拌
材料のふるいわけ
伊藤忠テクノソリューションズの自然災害に関するソリューション
伊藤忠テクノソリューションズ(以下、CTC)では、地震災害、土石流、土砂崩などの自然災害に対する防災・減災、インフラの老朽化に対するメンテナンスに関わる解析ソリューションを提供しております。
▼解析ソリューション例
ソリューション名 |
特徴 |
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SoilPlus(地盤・浸透・耐震統合解析システム) |
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UDEC/3DEC(2次元/3次元個別要素法解析プログラム) |
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FLAC/FLAC3D(2次元/3次元有限差分法解析プログラム) |
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PFC(2次元/3次元粒状体挙動解析プログラム) |
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また、防災・減災・メンテナンスに関わるソフトウェアの開発、販売だけでなく、それらのソフトウェアを利用した受託解析や、ソフトウェアのご使用に際しての技術サポートも行っております。
弊社が販売する個別要素法解析ソフトPFC(米国ITASCA社開発)の詳細や事例については下記資料をご覧ください。
まとめ
個別要素法(DEM)は、建設業界や製造業界で広く利用される解析手法です。
本稿では基礎的な考え方や解析の流れ、具体的な適用例などをご紹介いたしましたが、さまざまな問題に活用可能です。
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