CCS事業法の概要と用語紹介!脱炭素化が難しい分野のGXを目指す
2050年のカーボンニュートラル達成に向けて、今後、脱炭素化が難しい分野におけるGXを実現することが課題となっております。このような分野における化石燃料・原料の利用後の脱炭素化を進める手段として、CCSの導入が不可欠です。
そこで今回は、2024年5月に成立した「二酸化炭素の貯留事業に関する法律」(以下CCS事業法)の内容と、よく出てくる用語に関しまして解説・紹介いたします。
CCSに関しまして詳しく知りたい方は、下記の記事をご参照ください。
目次[非表示]
- 1.CCS事業法の成立背景
- 2.CCS事業法の構成
- 3.よく出てくる用語の定義
- 4.伊藤忠テクノソリューションズのCCSソリューションマップ
- 5.まとめ
- 6.参考文献
CCS事業法の成立背景
CCS事業法は、2030年までに民間事業者がCCS事業を開始するべく、事業環境を整備するために成立しました。公共の安全を維持し、海洋環境の保全を図りつつ、その事業環境を整備するために必要な貯留事業等の許可制度等について定めています。
CCS事業法の構成
CCS事業法は全8章で構成されています。各章の簡単な内容は以下の通りです。
第1章 総則
法の目的と基本的な定義を規定しています。二酸化炭素の貯蔵事業が公共の利益に貢献することを目的としています。
第2章 貯留事業および試掘
特定区域内での貯留事業や試掘の許可制度が定められ、事業者の選定や許可の取得が規定されています。
第3章 導管輸送事業
CO2を貯留層に輸送するための導管輸送事業に関する規制を定めています。
第4章 貯留層の探査
貯留層がCO2の安定的な貯蔵に適しているかどうかを調査するための試掘活動に関する規定が含まれています。
第5章 土地の使用および収用
貯留事業に必要な土地の使用や収用に関する手続きを定めています。
第6章 損害の賠償
貯留事業による損害が発生した場合の賠償責任を定めています。
第7章 雑則
その他の事業運営に関する細則を規定しています。
第8章 罰則
法に違反した場合の罰則が規定されています。
よく出てくる用語の定義
最後に、CCS事業法によく出てくる用語の定義に関しまして、簡単に紹介いたします。
貯留層
内部及び周辺の地層の温度、圧力その他の性質が二酸化炭素の安定的な貯蔵に適している地下の地層のことを指します。
貯留区域
貯留層の全部又は一部を含む、地下の一定の範囲における立体的な区域であり、貯留事業の用に供するものをいいます。
貯留等工作物
坑井、掘削用機械、圧送機、配管その他の工作物及びこれらの付属設備であり、貯留事業又は試掘の用に供するものをいいます。
貯留権
貯留区域内の貯留層における貯留事業の用に供する貯留等工作物を 当該貯留区域に設置及び運用し、当該貯留層に二酸化炭素を貯蔵する権利のことを指します。
貯留事業
二酸化炭素を貯留層に貯蔵する事業のことを指します。
貯留層の探査
地下の地層が貯留層に該当するかどうかを調査するために行う地質構造の調査です。貯留層の掘削を伴わず、かつ、自身探査法その他一定の区域を継続して使用するものとして経済産業省令で定める方法によるものを指します。
貯留事業者
経産省大臣の審査により、貯留事業の許可を受けた者を指します。
試掘
地下の地層が貯留槽に該当するかどうかを調査するため、当該地層を掘削することを指します。これは当該地層を構成する砂岩、その他の岩石を採取することを含み、当該地層における二酸化炭素の貯蔵を伴わないものに限ります。
試掘区域
地下の一定の範囲における立体的な区域であり、試掘の用に供するものをいいます。
試掘権
試掘区域における試掘の用に供する貯留等工作物を当該試掘区域に 設置及び運用し、当該試掘区域において試掘を行う権利のことを指します。
特定事業者
経済産業省により選定された、当該区域内の当該貯留層における貯留事業又は当該区域における試掘を最も適切に行うことができる者を指します。
特定区域
特定事業者に当該区域における貯留事業又は試掘を行わせる必要があると認める際に、経済産業省によって指定される当該区域を指します。
導管輸送事業
二酸化炭素を貯留層(外国における貯留層に相当するものを含む)に貯蔵することを目的として、導管により当該二酸化炭素を輸送する事業を指します。
導管輸送事業者
経済産業省の規定による届け出を出した者を指します。
伊藤忠テクノソリューションズのCCSソリューションマップ
伊藤忠テクノソリューションズでは、CCS事業における全体最適化を目指しております。その上で長年培ってきた、シミュレーション・解析における技術を各プロセスへ活用することが大切であると考えております。
CCSに関するソリューションに関しましては、下記資料をご参照ください。
まとめ
今年成立したCCS事業法に関しまして、内容と重要な用語をご紹介させていただきました。事業法の成立によりCCS事業が加速していく可能性は、間違いなく大きいでしょう。その上でシミュレーション・解析分野に長けたIT企業の果たす役割は、重要なものになると言えます。
今後も磨き続けてきた技術を活用し、2030年のカーボンニュートラル実現へ貢献していきます。
参考文献
・日本でも事業化へ動き出した「CCS」技術(後編)〜「CCS事業法」とは?|スペシャルコンテンツ|資源エネルギー庁 (meti.go.jp)
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