
第2回:小さな一歩から始める建設業のDX
はじめに:DXは「大きな改革」ではなく「小さな改善」から
「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉を聞くと、何か大掛かりなシステム導入や、全社的な業務改革を想像してしまいがちです。しかし、実際にはそんなに構える必要はありません。
特に重要なのは、「できるところから、少しずつ」始めること。今回は、前回整理した課題に対して、現実的かつ効果的な解決策を、事例を交えてご紹介します。
目次[非表示]
解決策の方向性:3つのステップで考える
① 業務の“見える化”から始める
まずは、どの業務がどれだけ時間を使っているのか、どこに無駄があるのかを把握することが大切です。
おすすめは、業務フローの棚卸しと簡易な業務日報の導入。紙でもExcelでも構いません。現場・設計・管理それぞれの業務を「見える化」することで、改善のヒントが見えてきます。
② 無料・低コストのツールを活用する
いきなり高額なシステムを導入する必要はありません。
例
- Google Workspace / Microsoft 365:図面や工程表のクラウド共有
- LINE WORKS / Chatwork:現場との連絡をチャット化
- Dropbox / Box:写真や図面のクラウド保管
- kintone / Smartsheet:工程・原価・安全管理の簡易アプリ化
これらは比較的安価に始められ、スマホでも使えるため現場との親和性も高いです。
③ 外部の力を借りる
「社内にIT人材がいない」という課題は、外部パートナーとの連携で解決できます。
たとえば、建設業に強いSIerやコンサル会社に相談することで、自社に合ったツール選定や導入支援を受けられます。
成功のポイントと失敗の要因
■ 成功のポイント
- 現場の声を聞く:「現場が使いやすいか?」を最優先に
- スモールスタート:まずは1現場、1部門から
- “完璧”を目指さない:7割の完成度でまず動かす
- 社内に“推進役”を立てる:現場とITの橋渡し役が重要
■ 失敗の要因
- 現場の理解不足:「また面倒なことが増えた」と思われる
- ツールの押し付け:現場に合わないツールは定着しない
- 目的が不明確:「何のためにやるのか」が伝わっていない
支援制度や補助金も活用しよう
中小企業向けには、国や自治体が提供するIT導入補助金やDX推進支援制度があります。
例
- 中小企業庁「IT導入補助金」
- 各都道府県の「DX推進アドバイザー派遣」
- 建設業団体によるセミナーや相談窓口
こうした制度を活用すれば、初期費用の負担を抑えながら導入が可能です。
おわりに:DXは“現場のため”にある
デジタル化は、経営のためだけでなく、現場で働く人たちの負担を減らすためにあります。
「現場が楽になる」「ミスが減る」「若手が定着する」
そんな未来を実現するために、まずは小さな一歩を踏み出してみませんか?
次回は、「何を優先してデジタル化すべきか?」について、業務ごとの優先順位とその根拠を詳しく解説します。
伊藤忠テクノソリューションズの取組み

伊藤忠テクノソリューションズでは、今回の記事に関連した「各種ツール」の販売/導入支援や業務見えるかをご支援しております。
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