【ユーザ講演あり!】LS-DYNA R15新機能紹介セミナー開催レポート
LS-DYNAユーザーカンファレンス2024は、多くのお客様にご参加いただき、大成功を収めることができました。LS-DYNAの新バージョンR15の機能紹介、スズキ株式会社様とアンシス・ジャパン株式会社様による講演などが行われました。
本稿では当日の講演内容を簡単にご紹介いたしますので、ぜひ最後までご覧ください。
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2024年10月4日(金) に開催いたしましたLS-DYNAユーザーカンファレンスについてご紹介いたします。CTC主催のLS-DYNAユーザーカンファレンスとしては、約4年ぶりとなるリアルイベント(対面)でした。LS-DYNAの新バージョンであるR15に搭載された新機能紹介をベースしたCTC講演に加え、衝突CAEの取り組みについてスズキ株式会社様、Ansys製品紹介についてアンシス・ジャパン株式会社様にそれぞれご紹介いただきました。
イベント当日は、弊社のLS-DYNA保守ユーザー様を中心に、メーカー、大学・研究機関など様々な分野から50名を超える方々にご参加いただき、盛況のうちに終えることができました。
スズキ株式会社様:「スズキにおける衝突CAEの取り組み 」
今回は基調講演をスズキ株式会社様より賜り、好評を博しました。「スズキにおける衝突CAEの取り組み」と題して行われたこの講演では、海外のモータリゼーション動向やそれに伴う交通事故件数の深刻な伸びに触れた後、交通安全対策の考え方や各国の試験規格など基本的な事柄も含めわかりやすく解説いただきました。
それらを踏まえた上で、先進的な解析技術の導入や精度向上への取り組みなどスズキにおける衝突CAEの取り組みが紹介されました。ばらつき評価を解析に取り入れ、設計段階でばらつきの起きにくい構造にリバイズした事例が示され、参加者に驚きと感銘を与えました。
アンシス・ジャパン株式会社様:「Ansys LS-DYNA製品群・Ansys製品連携のご紹介」
アンシス・ジャパン株式会社様にもご講演いただきました。「Ansys LS-DYNA製品群・Ansys製品連携のご紹介」と題して行われた講演では、LS-DYNAに関する製品群についての具体的な紹介や、総称としての「Ansys LS-DYNA」ブランドについての説明、Ansysソリューションとの連携についても紹介がありました。
LST LS-DYNAとAnsys(Workbench)LS-DYNAの同じところと違うところ、できるところ・できないところをわかりやすく解説していただきました。普段、どちらかのLS-DYNAしかご利用されない方には新鮮な内容だったようです。
CTC
CTCからはLS-DYNAに関連する話題として「LS-DYNA R15新機能紹介」、「デジタルツイン空間におけるシミュレーションデータの可視化 ~LS-DYNAデータの有効活用~」、「多軸応力下で取得したSS曲線の単軸自動補正システムの概要と使用法のご紹介」について講演しました。「材料」というキーワードに関連し、「計算科学による材料開発・プロセス設計 ~熱力学計算ソフトウェア「Thermo-Calc」のご紹介~」についてもご紹介いたしました。
「LS-DYNA R15新機能紹介」
「LS-DYNA R15新機能紹介」は、Ansys社の資料をベースにCTCで行った調査や検証を踏まえて新バージョンの機能について紹介しました。HPCに関わる話題では、CTCで行ったカーボンクレジット付リースの利用事例や、最近のハードウェア事情や新旧ハードウェアでの速度差についての情報などを提供しました。
今回のメインコンテンツでもあるこの新機能紹介は、LS-DYNAが広範な機能を持つマルチフィジックスソルバーであることに起因して、どうしても内容が多岐に渡ってしまうため、どう整理してお伝えするか、というのが課題となっています。今回は昨年のR14と同様に、構造解析に近いもの、マルチフィジックス寄りの話題などにわけてお伝えしました。整理してご紹介できた一方、時間的制約とこれまた多岐に渡るお客様の業界とのバランスを考慮したプレゼンにできたか、という点では準備を含め改良の余地がまだまだあるなと感じさせられます。
「デジタルツイン空間におけるシミュレーションデータの可視化」
「デジタルツイン空間におけるシミュレーションデータの可視化 ~LS-DYNAデータの有効活用~」では、NVIDIAのOmniverseにおけるLS-DYNAをはじめとするシミュレーションデータの活用事例が紹介されました。もともとLS-DYNAの結果処理には高機能なLS-PrePostがセットで使われることが多いため、単純なLS-DYNAのポスト処理では洗練されたビジュアル面以外の強みを発揮しにくいのが現実です。
その一方で、シミュレーション結果以外の様々なデータとの連携や、中間ファイルを挟まずに直接連携できるAnsysソリューションが登場しつつあることなども紹介され、新たな活用の方向性へのヒントを得た参加者もおられたようです。
「多軸応力下で取得したSS曲線の単軸自動補正システムの概要と使用法のご紹介」
「多軸応力下で取得したSS曲線の単軸自動補正システムの概要と使用法のご紹介」という講演では、日頃は目を背けがちな材料のSS曲線の入力データについて、どう補正すると高精度な構造解析を行えるかが語られました。
LS-DYNAのような非線形構造解析では、材料特性の設定が解析結果・精度を大きく左右します。SS曲線はその中核をなすものです。講演者が長年材料モデルの開発に取り組んできた成果を踏まえた内容にもなっており、難しいと感じた方もいた一方で、とても強い関心を抱いた方もおられた講演でした。今後も取り組んでいかねばならないテーマだと感じさせられました。
「計算科学による材料開発・プロセス設計」
「計算科学による材料開発・プロセス設計 ~熱力学計算ソフトウェア「Thermo-Calc」のご紹介~」では、講演タイトルが示すようにThermo-Calcという製品の紹介がなされました。主に合金の材料開発に利用できるソフトですので、材料が非常に重要な役割を果たすLS-DYNAと共に情報を発信させていただきました。
今回参加された方々は構造解析・衝突解析でLS-DYNAを利用されている方々が主でしたので、少々とっつきにくい印象を受けた方が多かったかもしれません。
現状、Thermo-CalcはLS-DYNAの材料パラメータを作成したりできないため、直接の連携はできませんが、もっと広く開発プロセス全体を見渡した場合に、活きてくる可能性のあるソリューションと言えます。発信の方法やその有効性の伝え方の改善といった宿題が残った印象です。
今回は久々のリアルイベントでした。対面ならではの交流ができたり、発表が行えたりといった面で収穫のある開催となりました。一方で、より多くの方に情報を届けるとか、手軽に参加していただける、といった面ではオンライン開催が好ましいことを再確認することができました。
今後は、ハイブリッドでの開催も選択肢として、その時々の状況に合わせ開催形式を選択していくことになりそうです。
●関連製品についてはこちら
非線形・動的・流体構造連成シミュレーションツール LS-DYNA
●Ansys®、及びその他すべてのANSYS, Inc.の製品名は、ANSYS, Inc.またはその子会社の米国およびその他の国における商標または登録商標です。
統合型熱力学計算ソフトウェア Thermo-Calc
●Thermo-Calcは、Thermo-Calc Software AB の製品です。本記事に記載の商品名、ロゴ等は各社の商標または、登録商標です。
伊藤忠テクノソリューションズが提供するCAEアドバイザリーサービス
伊藤忠テクノソリューションズが提供するCAEアドバイザリサービスは、設計や製造プロセスを改善するための高度な解析技術を利用し、製品の品質向上や生産性の向上など、お客様のビジネスパフォーマンスを高めるためのサービスです。
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まとめ
本記事では「LS-DYNA R15新機能紹介セミナー開催レポート 」として、当日の講演である
- スズキ株式会社様:「スズキにおける衝突CAEの取り組み 」
- アンシス・ジャパン株式会社様:「Ansys LS-DYNA製品群・Ansys製品連携のご紹介」
- CTC講演
について、簡単にご紹介いたしました。
CTCにおいては今後もこのようなカンファレンス、セミナーを適宜開催して参りますので、今後もぜひご注目ください。
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