
CAE×最適化が切り拓く、次世代ものづくり設計についてご紹介
はじめに
近年の製品設計においては、非線形挙動や複雑な境界条件を考慮した高精度なCAE解析が一般化してきています。CAEを用いることで設計評価は高度化していますが、一方で設計変数の調整は依然として手作業に依存しており、設計変数の増加に伴って設計案を網羅的に比較することが困難になるケースが増えています。
その結果、最適な設計解に到達できない場合もあり、設計プロセスの効率化と高度化が重要な課題となっています。
このような背景から、CAE結果を定量的に活用し、広範な設計空間を体系的かつ効率的に探索する手法として最適化技術の重要性が高まっています。
最適化技術を導入することで、手作業では探索しきれない設計領域を包括的に評価でき、製品性能の向上や開発期間の短縮が期待できます。
目次[非表示]
- 1.はじめに
- 2.CAEとは何か
- 2.1.CAEの役割
- 2.2.CAE単独利用の限界
- 3.最適化とは何か
- 3.1.最適化の基本概念
- 3.2.設計における最適化の種類
- 4.CAEと最適化の融合
- 4.1.CAE × 最適化の位置づけ
- 4.2.CAE × 最適化の基本ワークフロー
- 5.代表的な適用分野・事例
- 5.1.構造設計最適化
- 5.2.形状・板厚最適化(トポロジー最適化を含む)
- 5.3.材料パラメータ同定・モデル同定
- 5.4.信頼性・ロバスト設計
- 6.最適化ツールの役割(例:LS-OPT)
- 6.1.最適化専用ツールの必要性
- 6.2.LS-OPTの特徴
- 7.導入効果・メリット
- 7.1.技術的メリット
- 7.2.開発プロセス上のメリット
- 7.3.組織・人材面のメリット
- 8.導入時の注意点・課題
- 8.1.CAEモデル精度の重要性
- 8.2.計算コストとリソース
- 8.3.最適化問題設定の重要性
- 9.まとめ
- 10.伊藤忠テクノソリューションズが提供するCAEアドバイザリサービス
CAEとは何か
CAEの役割
CAE(Computer Aided Engineering)は、構造、衝突、振動、熱、流体などの多様な物理現象を数値解析によって再現し、設計段階で製品性能を予測・評価するための技術です。
試作の代替あるいは補完として活用されることで、設計の妥当性や潜在的な問題点を早期に把握でき、開発プロセスの効率化と品質向上に寄与します。
CAE単独利用の限界
CAEは設計案の性能評価には有効な手法ですが、設計変数の調整や最適解の探索は依然として設計者の手作業に委ねられているのが現状です。特にパラメータ数が多い場合には探索空間が膨大となり、すべての設計案を網羅的に検討することが困難になります。
その結果、真に最適な設計解を保証することが難しく、設計プロセスの高度化に向けた課題となっています。
最適化とは何か

最適化の基本概念
最適化とは、複数の設計変数に対して目的関数を定義し、制約条件を満たしながら最良の解を探索する手法です。設計問題を数学的に定式化することで、設計判断を定量的かつ体系的に行うことが可能となります。
これにより、従来は経験や試行錯誤に依存していた設計プロセスを、より合理的で再現性の高いプロセスへと発展させることができます。
設計における最適化の種類
設計最適化には、寸法や材料定数を対象とするパラメータ最適化、形状そのものを直接変更する形状最適化、構造内部の材料配置を最適化するトポロジー最適化など、さまざまな手法があります。
さらに、多目的最適化や制約付き最適化を用いることで、相反する要求を同時に考慮しながら最適な設計を導くことが可能となります。
CAEと最適化の融合
CAE × 最適化の位置づけ
CAEは与えられた設計条件に対する性能評価を担い、最適化はその評価結果を基に設計変数を更新し、解空間を探索する役割を持ちます。両者を組み合わせることで、設計評価と設計変更を自動化した体系的な設計プロセスを実現することができます。
これにより、従来よりも効率的で再現性の高い設計探索が可能となり、製品開発の高度化に寄与します。
CAE × 最適化の基本ワークフロー
設計変数を入力としてCAE解析を実行し、その結果を目的関数や制約条件として最適化アルゴリズムが次の設計案を生成します。
このループを繰り返すことで、人手では探索が難しい多次元の設計空間において、効率的かつ体系的に最適解を求めることが可能となります。

代表的な適用分野・事例
構造設計最適化
自動車、航空宇宙、産業機械の各分野では、剛性・強度・重量など複数の要求を同時に考慮した構造最適化が広く活用されています。
CAE解析と最適化技術を組み合わせることで、軽量化と性能確保を両立した設計検討が可能となり、製品開発の効率化と品質向上に寄与します。
形状・板厚最適化(トポロジー最適化を含む)
形状やシェル厚みを設計変数として扱い、応力や変位などの制約条件を満たしながら最適な形態を導出します。
さらに、トポロジー最適化を適用することで、材料配置そのものを見直し、従来にはない革新的な設計案を創出することが可能となります。
材料パラメータ同定・モデル同定
実験データとCAE解析結果の差を最小化することで、材料定数やモデルパラメータを高精度に同定することができます。
これにより、解析モデルの信頼性が向上し、実機挙動の再現性を高めることが可能となります。
信頼性・ロバスト設計
材料特性や荷重条件のばらつきを考慮し、性能の安定性を評価する確率論的最適化が活用されています。設計ばらつきに対して頑健な構造を実現することで、品質の向上とリスクの低減に寄与することができます。

最適化ツールの役割(例:LS-OPT)
最適化専用ツールの必要性
設計変数や評価指標が多い最適化問題では、手作業による検討やスクリプトベースの運用には限界があります。
最適化専用ツールを活用することで、解析実行・結果評価・設計更新の一連のプロセスを自動化でき、効率的かつ体系的な設計探索が可能となります。
LS-OPTの特徴
LS-OPTは設計最適化に特化したツールであり、LS-DYNAとの高い親和性を備えています。
非線形解析や動的解析を含む複雑な設計問題に対して、多様な最適化アルゴリズムとGUIベースの操作環境を提供し、効率的かつ体系的な最適化プロセスを実現します。


LS-OPT×LS-DYNAの詳細は下記資料をご参照ください。
導入効果・メリット
技術的メリット
CAE結果を定量的に活用した最適化を行うことで、設計品質の向上と性能の最大化を図ることができます。設計根拠が明確になり、設計判断の再現性や客観性が向上するため、より信頼性の高い設計プロセスを実現できます。
開発プロセス上のメリット
設計検討を自動化することで、試作回数の削減や開発期間の短縮が可能となります。複数の設計案を効率的に比較・評価できるようになり、最適解探索の効率を大幅に向上させることができます。
組織・人材面のメリット
熟練者のノウハウを設計プロセスとして形式知化することで、属人性を低減することができます。さらに、GUIベースの操作環境により、若手エンジニアでも高度な設計検討を実施でき、組織全体の設計力向上に寄与します。
導入時の注意点・課題
CAEモデル精度の重要性
最適化結果の妥当性は、CAEモデルの精度に大きく依存します。適切な最適化を行うためには、境界条件や材料モデルの妥当性を十分に検証することが不可欠です。これにより、解析結果の信頼性を確保し、最適化プロセス全体の精度向上につなげることができます。
計算コストとリソース
最適化では多数回のCAE解析を実行する必要があるため、計算時間や計算資源の確保が課題となります。これらの負荷を軽減するためには、サロゲートモデルなどの近似手法を活用し、計算効率を高める取り組みが求められます。
最適化問題設定の重要性
目的関数や制約条件の設定が不適切な場合、意味のある最適解を得ることができません。最適化を成功させるためには、設計意図を明確にした問題定義を行うことが重要となります。
まとめ
近年、CAEによる高精度な性能評価が一般化する一方で、設計変数の増加に伴い最適解探索は複雑化しています。そのため、CAE結果を定量的に活用して設計空間を体系的に探索する最適化技術の重要性が高まっています。
最適化専用ツールを活用することで、設計評価と設計更新を自動化し、軽量化・性能確保・モデル同定・ばらつき評価など多様な設計課題に対応できます。ただし、モデル精度の確保や計算負荷、適切な問題設定が成功の鍵となります。
伊藤忠テクノソリューションズが提供するCAEアドバイザリサービス

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