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なぜ建設業界にCDEが必要なのか?情報分断の課題とリスクを解説

はじめに

前回の記事では、建設業のBIM/CIMで欠かせないCDE(Common Data Environment/共通データ環境)について基本の解説をしました。CDEは単なるファイル共有システムではなく、業務の進め方そのものを変える仕組みになります。

今回は「なぜCDEが必要なのか?」をテーマに、建設業界の情報管理の現状とリスク、CDEによる解決例を見ていきます。

目次[非表示]

  1. 1.はじめに
  2. 2.建設業界における情報分断の実態
    1. 2.1.フェーズ間での情報の分断
    2. 2.2.情報分断がもたらす業務リスク
  3. 3.CDEによる解決策とリスク事例
    1. 3.1.事例①:図面違いによる手戻りを防止
    2. 3.2.事例②:施工記録の検索を容易に
    3. 3.3.事例③:担当者退職による情報消滅を防止
  4. 4.CDEは未来のための投資
  5. 5.おわりに:次回予告
  6. 6.伊藤忠テクノソリューションズの取組み

建設業界における情報分断の実態

建設業界ではDXやBIM/CIMの導入が進む一方で、「現場で使えない」「維持管理に活かせない」といった声が後を絶ちません。

その背景には、情報の分断と属人化という構造的な課題があります。

フェーズ間での情報の分断

建設プロジェクトは主に3つのフェーズに従って進められていきます。

  1. 企画・設計フェーズ
  2. 施工フェーズ
  3. 維持管理フェーズ

各フェーズ間では、「前工程のアウトプット→後工程のインプット」として成果物が共有されます。しかし従来の情報管理では、使われるシステムやフォーマットが異なる事を理由に、情報がそのまま引き継がれないことがあります。

  • 設計図面がPDFで渡されており、施工段階で別フォーマットに再入力している
  • 施工記録が紙で管理されており、デジタルデータとして維持管理に活かせない
  • 過去の施工履歴が統一フォーマットとしてまとまっておらず、維持管理の担当者が苦労する

上記のフェーズ間のやり取りでは情報の分断が生じ、作成したデータも無駄になってしまいます。BIM/CIMモデルの「情報を一元化できる」メリットを活かし切れていません。

情報分断がもたらす業務リスク

具体的なリスク、想定される影響をまとめます。

リスクとその内容

想定される影響

手戻りの増加

設計内容や変更が現場に正しく伝わらず施工ミスが発生。

再施工によるコスト増・工期遅延。

品質のばらつき

現場ごとに情報の管理方法、品質管理が異なる。

トレーサビリティが確保できない。責任の所在も不明確。

維持管理の非効率

過去の施工記録が見つからず、点検や修繕の判断が困難。

劣化の見逃しや過剰な補修が発生。

情報の紛失

手軽なチャットツールでの情報共有に依存。

データの引継ぎ漏れが発生。最悪の場合データの紛失。

セキュリティリスク

メール添付による情報共有に依存。

誤送信によるセキュリティリスク。

属人化による業務停滞

ファイルの見方や使い方が一個人にしか分からない。

担当者の異動や退職で業務が止まる。

CDEによる解決策とリスク事例

CDEはこれらのリスクを以下のように解消できます。より重要なものについては事例も紹介します。

リスク

CDEによる解決策

手戻り

最新図面・モデルをリアルタイムで共有

品質ばらつき

バージョン管理と承認フローで統一された品質を担保

維持管理の非効率

属性情報付きのデータを蓄積・検索可能

データの紛失

統一されたデータ管理

セキュリティリスク

アクセス権限とログ管理でセキュリティ強化

業務の属人化

業務フローに基づく情報登録・共有ルールの適用

事例①:図面違いによる手戻りを防止

設計変更後の図面が現場に届かず、旧バージョンの図面で施工。完成後に変更箇所が発覚し、再施工と追加コストが発生。

→ CDEなら常に最新版の図面を共有・確認でき、認識違いによる施工ミスを未然に防げる。

事例②:施工記録の検索を容易に

10年前の施工記録が紙で保管されており、探すのに数日かかる。見つからない場合は現地調査をやり直す必要がある。

→ CDEなら属性情報で検索可能。必要な情報にすぐアクセスできる。

事例③:担当者退職による情報消滅を防止

図面や写真が個人PCやUSBメモリに保存されていた。担当者の退職後にデータが引き継がれてないことが発覚し、コストをかけて再作成した。

→ CDEなら組織全体で情報を管理し、データの属人化を防止できる。

CDEは未来のための投資

こうしたメリットのあるCDEも、導入には初期コストや運用設計の手間がかかります。そのため「現在の業務がうまく回っている」という理由で、CDE活用の検討を後回しにしがちです。

CDEは今の業務を効率化するためという目的だけでなく、未来の業務を止めないための投資でもあることを念頭に入れるべきです。

  • 10年後の維持管理に必要な情報を、今から蓄積する
  • 担当者が変わっても、業務が継続できる仕組みを作る
  • デジタルツインやスマートメンテナンスの基盤を整える

こうした視点でCDEを捉えることが、建設業界の持続的な成長につながります。

おわりに:次回予告

従来の情報管理によるフェーズ間の分断は、建設業界の構造的な課題の一つです。CDEは情報の流れをつなぐことで課題解決を導き、業務の質とスピードを向上させる可能性を秘めています。

次回ではCDE導入の実践ステップとして、情報資産の棚卸し、業務フローの可視化、属性情報の設計、運用ルールの整備など、具体的な取り組みについて詳しく解説します。

伊藤忠テクノソリューションズの取組み

伊藤忠テクノソリューションズでは、今回の記事に関連したCDE導入のご支援をしております。

建設業におけるDX化で課題をお持ちの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。課題に合わせたソリューション情報を提供させて頂きます。

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