脈動とは?脈動による配管振動のメカニズムと対策を解説
配管内を流れる流体の脈動とそれに伴う振動は、構造への損傷や機器の故障などの問題を引き起こす可能性があり、設計や運用段階で考慮すべき重要な要素です。
この記事では、脈動による配管振動の問題に焦点を当て、そのメカニズムと対策、シミュレーションによる検討方法を解説します。
脈動による配管振動のメカニズム
脈動とは配管内を流れる流体の圧力や流量が一定の周期で変動する現象です。
往復式(レシプロ)の圧縮機やポンプが発生源の代表例として挙げられ、これらの機器はピストンの往復動によって流体の吸込みと吐出が交互に繰り返されるため脈動が発生します。
勢いよく流れている水を遮ると力がかかるように、配管内を流れている流体は配管に力を及ぼします。さらにそれが周期的な変動である場合には配管に対する加振力となるため、脈動は配管振動の原因となります。
脈動による配管振動の原因として、共振の問題もあります。脈動は変動の周波数(振動数)が配管内の気柱(液柱)の固有振動数に一致すると共振により振幅が増大し、配管系に大きな加振力がかかります。
その上脈動の振動数が配管系の機械的固有振動数に一致にした場合にはさらに大きな振動が発生し、損傷のリスクが高まります。
そのため、圧縮機やポンプそのものによる圧力変動が小さい場合でも脈動による配管振動には注意する必要があります
脈動による配管振動の対策
脈動による配管振動を避けるためには脈動を抑えるまたは共振しないように固有振動数を変更する対策が有効です。
脈動を抑える対策の具体例としては配管の途中にオリフィス(絞り)を設置する方法やアキュムレータを設置する方法が挙げられます。
オリフィスには脈動を低減させる効果がありますが適切な位置に設置しないと効果が得られないため、設置位置にも注意が必要です。
一方、固有振動数を変更する方法としては配管経路やサポート位置の変更が挙げられますが、大規模な工事となってしまう場合もあります。
シミュレーションによる検討
脈動のシミュレーション例
脈動の対策を検討する際、シミュレーションは有用なツールです。
シミュレーションを使用することで、設計段階において共振などの問題の発生を予測することができます。
また運用段階においても問題が発生した際の原因究明や対策の検討を迅速に行うことができます。
例えば脈動を抑える対策として設置位置が重要になるオリフィスの設置を検討する場合は現状の把握から設置位置の検討、設置効果の確認まで実施できるシミュレーションの出番です。
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伊藤忠テクノソリューションズでは、1次元熱流動シミュレーションについてソフトウェアの提供とサポート、解析サービスを提供しています。
1次元熱流動シミュレーションは脈動の他、熱と流れの挙動を検討可能な汎用的な技術であり、プラント、自動車、航空など様々な業界で利用されています。
この記事でご紹介した脈動検討について、詳しくは下記資料をご覧下さい。
まとめ
この記事では、脈動による配管振動の問題について以下の内容を解説しました。
・脈動による配管振動のメカニズム
・脈動による配管振動の対策
・シミュレーションによる検討
脈動による配管振動のメカニズムを理解することで、適切な対策を検討できるようになります。また設計や運用段階でシミュレーションを使用することで、問題の発生を予測したり、対策の効果を確認したりすることができます。
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