疲労破壊とは?メカニズムとCAEによる解析方法をご紹介
金属製品や構造物によっては、繰り返しの負荷がかかることによって疲労破壊が起きる場合があります。疲労破壊が起きると、不測の事故を引き起こします。
本稿では、金属の疲労破壊のメカニズムと解析方法についてご紹介します。疲労破壊に関する知識を深め、安全で耐久性のある製品と構造物を設計するためのツールとして、ぜひ役立ててください。
有限要素法を基礎から知りたい方は下記記事をご参照ください。
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疲労破壊とは?
疲労破壊とは、金属が繰り返し荷重を受けた結果、疲弊し破壊してしまう現象です。
金属のどの箇所が疲労破壊しやすいかは、その部位に応力集中が起こりやすいかどうかによって異なります。疲労破壊の主な原因は、金属内部の微小な欠陥が、荷重を受ける度に成長してしまうことです。
では次の段落から、疲労破壊のメカニズムについてお話ししましょう。
疲労破壊のメカニズム
金属の疲労破壊は、疲労荷重が加わることで発生する現象です。金属のどの箇所が疲労破壊を起こしやすいかは、応力集中が起こりやすい箇所です。
疲労破壊の原因は、クラックや欠陥がある場合などが挙げられます。 疲労寿命とは、疲労荷重が加わることでクラックが生じ、そのクラックが進展して破壊が発生するまでの時間や回数を指します。
以上のように、金属の疲労破壊のメカニズムは、応力集中が起こりやすい箇所で疲労荷重が加わるとクラックが発生し、そのクラックが進展して破壊が発生するというものです。
疲労破壊の解析方法
疲労破壊の解析方法には、クラック成長の予測、有限要素法(FEA)による応力・ひずみ評価、SN線図あるいはεN線図による疲労寿命の評価、などが含まれます。
また、発生した応力やひずみがどの程度発生したかの頻度を、現象中の時系列データをもとに、レインフローなどのサイクルカウントの手法を用いて計算します。
そして、マイナー則などを適用して、発生した値の大きさと頻度を元に、寿命予測を行います。
繰り返し負荷のイメージ
疲労寿命曲線図のイメージ
疲労寿命予測
疲労寿命予測は、構造物や部品の信頼性を保証するための重要なプロセスです。原発の耐用年数などの話は、ニュースで聞かれたことがあるかもしれませんが、耐用年数などの算出にも使われています。
機械の部品について、疲労寿命予測ができれば、その部品が壊れる前に、新しい部品の手配などを進めることができ、部品の破壊による機械の停止時間を削減することができます。実際に、製造の分野、建築の分野において、構造物や部品の疲労寿命の予測がされています。
疲労寿命予測を行う際に考慮すべき重要な要素は次のとおりです。
材料の種類
材料の種類によって、同じ荷重、同じ環境での使用でも、疲労寿命は異なります。例えば、銅とアルミでは、一般的にアルミの方が疲労寿命が長いと言われています。アルミは、銅よりも延性が高く、疲労亀裂の発生し進展したときに、進展のしやすさが変わってくる場合が多いです。
応力レベル
応力レベル(平均応力)が高ければ高いほど、疲労寿命は短くなります。
例えば、無負荷な状態から、引張状態に推移することが繰り返されるような場合にくらべ、圧縮状態から、引張状態へ繰り返すような場合、同じ応力振幅のでも、疲労寿命は長くなります。
応力振幅
応力振幅が高ければ高いほど、疲労寿命は短くなります。ただし、鋼などは、ある一定の応力振幅以下では、疲労破壊しない特性があると言われています。その応力振幅の
値を疲労限と言います。
環境条件
その材料が使用される場所、温度などの環境条件によって、疲労寿命が大きく変わる場合があります。たとえば、腐食性の高い環境では、材料の疲労寿命が短くなります。
表面状態
製品の表面が、研磨されている状態と、粗いままの状態では、疲労寿命が大きく変わる可能性があります。粗い表面の場合、その不連続箇所から疲労亀裂が発生し、疲労寿命を大きく低下させる可能性があります。
製造欠陥
製品に、製造時に欠陥ができてしまった場合、疲労寿命が大きく低下する場合があります。
疲労寿命予測は予測に影響を与える可能性のある多くの要因があります。疲労寿命を正確に予測するには、その材料の使用時におけるこれらの要因を正しく把握し、考慮することが重要です。
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まとめ
金属の疲労破壊というのは、製品にとって重要な問題となります。この破壊を予測し、予防することで、より安全な製品を開発することができます。
疲労寿命やクラック成長など、様々な要素を考慮することで、より正確に疲労破壊を評価することができます。これには、有限要素法による解析を用いる方法で予測します。
疲労破壊問題を解決するためには、製造プロセスのあらゆる局面で詳細なストレスとクラックの予測が必要です。また、製品の局所的な応力状態や材料の特性も理解する必要があります。
新しい製品を設計する場合、疲労破壊問題を考慮することが絶対条件です。製品が市場に出る前に、疲労テストで製品の優れた性能を保証する必要があります。
これにより、不良品を市場に出すリスクが減り、製品の信頼性を向上させることができます。
疲労解析におけるシミュレーション事例詳細に関しましては下記資料をご参照ください。
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