1次元熱流動シミュレーションとは?手法解説と適用例のご紹介
複雑な配管系統において流量配分が最適な設計となるように計算をする際、表計算ソフトで実施しようとして手を焼いた経験はありませんか?
1次元熱流動シミュレーションを使用すると、効率的な流量配分の設計や水撃や脈動による振動発生時の原因追及を行うことが可能です。
本記事では1次元熱流動シミュレーションとその適用例について解説します。
目次[非表示]
- 1.1次元熱流動シミュレーションとは
- 2.1次元熱流動シミュレーションの適用例
- 2.1.プラント/造船/機械
- 2.2.自動車
- 2.3.航空/宇宙
- 2.4.カーボンニュートラル/GX
- 2.5.医療/精密機器
- 2.6.ガスタービン
- 3.伊藤忠テクノソリューションズの1次元熱流動解析サービスのご紹介
- 4.まとめ
1次元熱流動シミュレーションとは
1次元熱流動シミュレーション イメージ画像
配管系統は目的の圧力や流量を満たすように設計する必要があります。
また水撃による圧力上昇や脈動が許容範囲内になることも確認しなければなりません。これらの計算は、表計算ソフトで実施しようとすると非常に難しいものとなります。
1次元熱流動シミュレーションは配管各部の圧力や流量、温度を計算するツールです。
配管やポンプといった要素をつなぎ合わせて解析モデルを作成し、配管の長さや内径、ポンプの特性を入力することで計算が可能になります。
計算を実施することで、流量配分や最大圧力、ポンプに必要な性能、バルブ開閉に応じた流量の変化等が分かります。
シミュレーションに使用する方程式としては、連続の式、運動方程式、エネルギー方程式を使用します。これらの方程式は、流れの物理的な特性を表現し、時間と空間の両方の変数に関して解かれます。
そして、熱流動シミュレーションは、3次元CFD(Computational Fluid Dynamics)もあります。3次元シミュレーションでは渦の発生などの局所的な現象を再現できる特徴があるのに対し、1次元の流れの解析は計算コストが低く、流れの全体像を得るのに役立ちます。
1次元熱流動シミュレーションの適用例
1次元流動シミュレーションは、配管の設計や水撃・脈動の現象が発生し得る状況で使用できるため、さまざまな業界で利用されています。以下に具体例を示します。
プラント/造船/機械
化学プロセス等のプラント、造船、機械系の業界において、各種配管系の流配/圧損評価、各種配管系の流配/圧損評価発電所や石油・ガス産業におけるパイプラインの液撃解析等に利用されます。
自動車
自動車のエンジンや燃料供給システムの設計や最適化において、エンジン冷却回路システムの評価、エンジンオイル潤滑システムの評価、EV/PHEVの熱管理検討等に1次元流動シミュレーションが利用されます。
航空/宇宙
航空機やロケットエンジンの設計や空調設計において、1次元流動シミュレーションが利用されます。航空機油圧システムの評価、ロケットエンジンシステムの評価、アビオニクスシステムの熱管理等に利用されます。
カーボンニュートラル/GX
カーボンニュートラルやGXといった分野では液化アンモニアの輸送/貯槽解析、液体水素の輸送/貯槽解析、有機ランキンサイクルの検討等に利用されます。
医療/精密機器
医療機器や精密機器の設計において、非ニュートン流体の挙動評価、電子機器回路網の検討、電子機器の入排熱検討等に利用されます。
ガスタービン
ガスタービンを含むシステムにおいて、ガスタービン2次空気流れの評価、ガスタービン潤滑システムの評価、タービンブレード冷却システム検討等に利用されます。
水撃・脈動現象についての詳しい解説は下記記事をご参照ください。
伊藤忠テクノソリューションズの1次元熱流動解析サービスのご紹介
伊藤忠テクノソリューションズでは、1次元熱流動シミュレーションについてソフトウェアの提供とサポート、解析サービスを提供しています。
1次元熱流動シミュレーションは熱と流れの挙動を検討可能な汎用的な技術であり、プラント、自動車、航空など様々な業界で利用されています。
まとめ
1次元熱流動シミュレーションについて、解説と適用例をお伝えしました。
1次元熱流動シミュレーションは、プラント・造船・機械、自動車、航空・宇宙、カーボンニュートラル・GX、医療・精密機器、ガスタービン等幅広い業界で活用されています。
そして、1次元熱流動シミュレーション技術もさらに進歩することが期待されます。今後もシミュレーションツールを活用して、より効率的な流量配分の設計等に取り組んでいきましょう。
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