ウォーターハンマー(水撃)とは? 原因やプラントでの対策法を解説
プラントでは、水をはじめとする製造に必要なさまざまな液体がポンプによって送り出され、配管を通じて輸送されます。
規模の大きいプラントでは、弁による水流調整が頻繁に行われることから、ウォーターハンマー(水撃)と呼ばれる現象が発生することがあります。
プラントに求められる水圧・流量を確保しつつ、給水のトラブルを防ぐためには、配管設計においてウォーターハンマーの対策が必要です。
この記事では、プラントで発生しやすいウォーターハンマーの原因や対策について解説します。
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ウォーターハンマーとは
ウォーターハンマーとは、配管内を流れる水の流速を急変させた際、圧力が急激に変化する現象のことです。水撃や液撃、油撃と呼ばれることもあります。
圧力が大きく、流量の多いプラント設備において、液体を運ぶ配管にウォーターハンマーが生じると、以下のような影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。
▼ウォーターハンマーによる影響
- 配管の破損、圧潰
- 配管の接続部分の緩みによる水漏れ
- 配管の水漏れによるセンサーの故障・メーターの異常
- 圧力変動による振動・騒音の発生 など
また、ウォーターハンマーは、バルブの開閉やポンプの稼働・停止によって、配管内を流れる水の流速が急激に変化することで生じます。
配管に液体が流れているときに急にバルブを閉めると、流れが食い止められて配管の圧力が上昇します。また、ポンプを急に停止すると、ポンプからの給水が少なくなり、配管内の圧力が急激に下降する負圧(水柱分離)が発生します。その結果、配管の振動や衝撃音の発生、配管の破損につながります。
プラントのウォーターハンマーを防ぐ方法
ウォーターハンマーを防ぐ、また発生した際の影響を小さくするには、流速や圧力の急激な変化を抑える必要があります。具体的な方法として以下の4つが挙げられます。
サージタンクを設置する
1つ目の対策は、配管の途中に液体を貯水できるサージタンクを設置することです。
サージタンクとは、配管内での急激な水量の変化によって生じる水圧を調整する水槽のことです。ポンプが急停止する際に、サージタンクから配管に水を送り込むことで、柱分離や配管の圧潰を防ぎます。
圧力リリーフバルブを導入する
2つ目の対策は、圧力リリーフバルブ(PRV)の導入です。
圧力リリーフバルブとは、事前に設定した圧力になると自動で弁が開いて、配管内の圧力を逃し、圧力を一定に保つバルブです。
急なバルブの閉栓によって上昇した配管内の圧力を下げて、過圧状態にならないようにすることで、ウォーターハンマーが生じるのを防ぎます。
ポンプにフライホイールを取り付ける
3つ目の対策は、ポンプにフライホイールを取り付ける方法です。
フライホイールを取り付けると、ポンプの回転に慣性力が働いて、ゆっくりと停止します。これにより、ポンプの急な停止によって生じる吐出流量の変化が抑制されて、ウォーターハンマーを防ぐことが可能です。
自動弁や制御システムを導入する
4つ目の対策は、自動弁や流量を制御できるシステムを導入することです。ウォーターハンマーを防ぐための自動弁や制御システムには、以下が挙げられます。
▼自動弁・制御システムの種類
種類 |
仕組み |
空気弁 |
配管内の圧力を変更した際に配管に空気を供給する |
急閉式逆止弁 |
逆流による弁の閉止が起こる前の段階で、弁を急閉する |
緩閉式逆止弁 |
弁の閉止速度を緩やかにする |
電磁式流量制御 |
配管内の自動弁で流量を制御する |
シミュレーションによるウォーターハンマーの検討
プラント設備でのウォーターハンマーを防ぐ方法として、上記で挙げたサージタンクの設置や圧力リリーフバルブの導入があります。しかし、実機での試験の場合、安全性の検証や検証にかかるコストが課題となります。
そこで、対策としてもコスト課題の解消としても有効な方法として挙げられるのが、シミュレーションの活用です。
シミュレーションを使用することで、ウォーターハンマーを再現することができ、プラント設備に求められるサージタンクや圧力リリーフバルブの性能を予測することできます。
また、プラント運用においても、問題が発生した際の原因究明や対策の検討を迅速に行うことができます。例えば、ウォーターハンマーが実機の設備で発生した際に、発生箇所や原因の詳細をシミュレーションで特定することができます。
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この記事でご紹介したウォーターハンマー(水撃)の検討について、詳しくは下記資料をご覧下さい。
まとめ
この記事では、ウォーターハンマー(水撃)について以下の内容を解説しました。
- ウォーターハンマーの原因と影響
- ウォーターハンマーを防ぐ方法
- シミュレーションによるウォーターハンマーの検討
プラントでウォーターハンマーが生じると、振動や圧力変動によって配管・周辺機器が破損したり、十分な液体輸送ができなくなり重大なトラブルが発生したりする可能性があります。
有効な対策には、サージタンクや圧力リリーフバルブの導入、ポンプへのフライホイールの取り付け、自動弁・制御システムの導入などが挙げられます。また、より効率的かつ安全に圧力・水量の予測や要因特定などを行うには、シミュレーションソフトを用いた解析が有効です。
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