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有限要素法(FEM)とは?基礎から解析の流れをまとめてご紹介

有限要素法(Finite Element Method)とは、工学や物理学などの分野で、複雑な形状や材質の物体や構造物の解析を行うために用いられる数値解析手法の一つです。物体や構造物を小さな要素に分割し、それらの要素の性質を数値化して計算を行うことで、全体の挙動を解析する手法です。

この有限要素法は、様々な分野で応用されており、例えば構造物の強度解析や振動解析、流体の流れ解析、熱伝導解析などに用いられます。また、製品開発や設計段階での予測、現場での問題解決など、実践的な応用にも役立っています。

本記事では、有限要素法の基礎的な考え方や解析の流れ、具体的な適用例などを分かりやすく解説していきます。有限要素法に興味がある方や、これから学ぼうとしている方はぜひ参考にしてください。

有限要素法を用いた代表的なソルバーであるLS-DYNAに関する事例を知りたい方は下記記事をご参照ください。

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目次[非表示]

  1. 1.有限要素法-FEMとは
  2. 2.モデル(メッシュ)を作る
  3. 3.荷重境界条件や接触等の条件を設定する
  4. 4.待ち時間(計算時間)
  5. 5.結果を見る
    1. 5.1.落下、衝突解析
    2. 5.2.プレス加工解析
    3. 5.3.機構解析
  6. 6.伊藤忠テクノソリューションズが提供するCAEアドバイザリサービス
  7. 7.まとめ


有限要素法-FEMとは

有限要素法(Finite Element Method)(以下、FEM)は、与えられた支配方程式(2階の偏微分方程式)を解析(数学)的な手法で解く代わりに、物体を小さな領域(有限な要素)に分割(離散化といいます)して、支配方程式をその要素内で平均的に満足させる解を見つける近似手法の一つです。構造問題では、ある計算対象に対して荷重が加わると、物体を形作っている多数の要素が個々に変形することで物体の変形を再現することができます。


ここで、静的構造問題における支配方程式は、力の釣合い式、変形の式(変位とひずみの関係式)、材料の構成式(ひずみと応力の関係式)から成ります。なお、構造問題に特有なところは関係式にこの構成式が含まれる点です。


FEMの計算が始まると、「要素ごとの剛性マトリックスの作成」→「重ね合わせによる全体の剛性マトリックスの作成」→「境界条件の考慮」→「連立方程式を解く」という流れで、先ず、節点における変位(変形)が求められます。


ここで、FEMの特徴的なところは、要素内の任意位置における変位を形状関数(1次要素の場合1次関数)と節点変位の積で近似する点です。


次に、節点における変位が求められると、これを変形の式に適用して(形状関数を微分して得られ、節点変位ベクトルとひずみベクトルを関係付けるマトリックスを[B]マトリックスと呼びます)、要素の代表点(一般的にガウス点が用いられます)でのひずみを計算します。そして、要素内でひずみが求まれば、最後に、材料の構成式(ひずみと応力の関係式を関係付けるマトリックスを[D]マトリックスと呼びます)から要素内の応力を求めることができます。


FEM解析の大まか流れ


市販のソルバーで計算した場合、内部では上記のような計算が行われている訳ですが、ユーザ側で行う必要があるのは



というところになります。「物性を設定」については奥が深いので別記事にてご紹介いたします。下記記事をご参照ください。

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モデル(メッシュ)を作る

要素の変形で物体全体の変形を表しますので、ソリッド要素(六面体や四面体の要素)、シェル要素(板状の要素)、ビーム要素(線状の要素)など、どの要素でモデルを作成するかが重要です。エンジンブロックや、歯車等の塊で表されるものはソリッド要素になります。

板材はシェル要素になりますが、板でも厚さの影響を無視できない程分厚いもの、板厚方向に圧縮などの荷重がかかる場合などの場合はソリッド要素が基本的には適切です。

形状や条件に応じて選択する必要があるということです。また、要素を決めた後、どのように要素を配置するか(メッシュを切るか)も結果に影響します。分割数(要素の細かさ)、要素の形(正方形の方が良い)などです。


荷重境界条件や接触等の条件を設定する

荷重の与え方としては、集中荷重や圧力荷重、重力加速度(慣性力)を与える、冶具か何かを接触させて押す、直接運動を与える等があります。

また、空間に止めておく(拘束)や、部材と部材を結合する等の条件があります。実際の現象をこれらに当てはめて、再現できる条件とする必要があります。

出来るだけシンプルな方法の方が計算時間や計算の安定性において有利かと思います。


待ち時間(計算時間)

これも実業務で重要かと思います。もちろんPCの速度にも寄りますが、モデルの作り方によっても、かなり変わってきます。

・材料構成モデルの選択-例えば、剛体>弾性体>弾塑性体といった順でモデルが複雑になるごとに計算量が増え処理時間がかかることになります。

・モデルの規模、要素-要素の種類、定式によって計算処理の時間が異なります。また、要素数、節点数が多いほど当然計算時間がかかることになります。

・現象時間-動的解析での話になりますが、実現象のうち、いつからいつまでを計算するのかで計算時間が変わります。


計算コア並列数と解析時間のイメージ図


他にも要因は有りますが、基本的には求める精度、計算する範囲(領域、時間)との兼ね合いになります。


結果を見る


解析結果-応力コンター図


正確な結果を得るためにどのようにモデル化すればいいのかですが、計算の種類によってお決まりのパターンというのが結構あります。下記にその一例を記載します。


落下、衝突解析

落下中に特に姿勢などの変化がない場合は計算対象から外すことができますので、評価対象が床や壁に衝突する直前から計算します。それまでに生じる落下速度等は初速として与えます。

大きく変形することが多いので、材料モデルは弾塑性体など非線形領域まで考慮したものが用いられます。部品が複数ある場合はそれら部品同士の接触を設定します。


プレス加工解析

金型でブランク(材料)を挟んで加工する計算ですが、一般的には金型は変形しないものとしてシェル要素で表面のみモデル化し、剛体として計算します。

ブランクの材料は、ロール圧延材の異方性を考慮する場合は、HillやBarlat等の異方性降伏関数を用いたモデルが使用されます。剛体の金型に強制変位を設定し、ブランクとの接触を設定して計算を行います。


機構解析

ギアやチェーン、アーム等を駆動させる計算で、ギアの中心軸等に強制変位(回転)を与え、部材間の接触を考慮して計算を行います。各部材は変形しないものとして剛体で計算されることもあれば、たわみや応力を評価する為、弾性体等でモデル化されることもあります

他の計算と比較して、現象時間が長くなることが多い為、運動が定常的になったら計算を終える等、現象時間を短くする工夫が必要です。


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伊藤忠テクノソリューションズがが提供するCAEアドバイザリサービスは、設計や製造プロセスを改善するための高度な解析技術を利用し、製品の品質向上や生産性の向上など、お客様のビジネスパフォーマンスを高めるためのサービスです。


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まとめ

有限要素法の基礎的な考え方や解析の流れ、具体的な適用例などをご紹介いたしました。

伊藤忠テクノソリューションズでは有限要素法ー基礎講座等もご用意しています。様々な業界の事例を含めたFEMの取組み・ご紹介に関しましては下記資料をご参照ください。



FEMですが、複数ソフト間の連成、クラウド、AI/機械学習の導入などまだまだ発展性があると考えています。CTCでは、こういった新しい技術の開発、サービス提供も実施していきます。


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