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材料開発において課題解決のカギを握るICME技術を取り入れたソリューションとは

さまざまなスケールで統合的なシミュレーションを実施して材料開発を行う技術、ICME(Integrated Computational Material Engineering)。2010年オバマ大統領による一般教書演説で、材料開発の革新的なプロジェクト“Materials Genome Initiative(MGI)”が立ち上げられました。このMGIの前身がICMEになります。

ICMEの目的は、過去に比べて2倍以上のスピードと圧倒的に低いコストで、新材料を発見・設計することです。公共インフラとして整備すべく、データベース、シミュレーション、機械学習などのコンピュータテクノロジーをフルに活用した研究開発が各国で進められています。

今回は、材料開発における課題を踏まえつつ、課題解決を導くICMEとMI(Materials Informatics:マテリアルズ インフォマティクス)の関係について解説します。


伊藤忠テクノソリューションズが提供する材料開発・設計ソリューションに関しましては下記をご参照ください。


目次[非表示]

  1. 1.材料開発における課題
  2. 2.ICMEとMIで材料開発のプロセスを加速する
  3. 3.QuesTek Japanの材料設計ソリューション
  4. 4.まとめ


材料開発における課題

材料は、最終製品の機能や性能に直結する要素です。近年、世界的な開発競争の激化により、新技術の普及期間や製品ライフサイクルが短期化しています。よりよい特性をもつ材料をいかに短期間・低コストで開発できるかが重要となっています。

また、環境・エネルギー対策やIoTの推進など、社会のニーズも多様化しています。高機能・高性能だけでなく、人の感性に訴えかける機能やリサイクル・リユースを踏まえた材料設計が求められています。

日本はこれまでにも、技術の積み上げ型開発で革新的な材料を生み出してきました。しかし、これらは研究者の勘・経験に基づいて探索したものや、偶然に発見したものも多くあります。このような開発体制では、理論計算や実証実験を繰り返し行う必要があり、新たな材料の開発までに長い時間がかかります。

開発時間を短縮して革新的な材料開発を行うには、従来の属人的・偶発的な要素をなくして、データドリブンな開発体制を整備することが課題といえます。

出典:内閣府『マテリアル革新力強化戦略



ICMEとMIで材料開発のプロセスを加速する

ICMEとよく似た概念にMIがあります。MIは、データサイエンスの手法を用いて材料のデータから情報を抽出して、材料設計に応用する手法です。

一方のICMEは、材料の設計・開発・最適化のために計算モデリングやシミュレーションおよび実験を統合する方法論です。材料の微視的な構造や組成からマクロな特性までの関係を理解して、材料設計プロセスに科学的なアプローチをもたらすことが重視されます。

ICME(Integrated Computational Materials Engineering)は、コンピュータテクノロジーを活用してマルチスケールで統合的なシミュレーションを材料開発に活かすコンセプトです。ICMEコンセプトに基づき独自の材料特性モデルやデータベースを組み合わせ、新規材料開発ならびに既存材料の諸特性を向上させる材料組成・プロセス最適化の技術サービスを提供します(諸特性:強度や靭性、疲労特性、クリープ特性、耐食性など)。

本ソリューションにより、従来の試行錯誤や実験的アプローチをICMEに基づく開発手法に置き換え、開発コストの削減や時間短縮、これまで達成できなかった特性を得る材料設計を実現します。


▼ICMEの概念図

ICMEの概念図


例えば、ICMEで組成・プロセスから組織と特性を算出できれば、MIと組み合わせて一部の組成・プロセスを計算するだけで、ほかの条件で組織・特性を算出できます。これにより、材料開発の期間・コストを短縮することが可能です。

ICMEとMIはお互いに補完的な立ち位置となり、将来的には材料開発における効率性と進歩を促進するために組み合わせて使用されることが期待されています。

なお、MIについてはこちらの記事で解説しています。

  マテリアルズ・インフォマティクス(MI)とは? データ分析を活用した材料開発でカーボンニュートラルを目指す 現在、世界的な地球環境問題への取り組みが進められています。日本政府は2050年までに温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにする“カーボンニュートラル”を目指すことを宣言しました。材料開発の分野においても、カーボンニュートラルの実現という社会的ニーズに対応するために、環境負荷の低減や持続可能性を考慮した革新的な技術が求められています。そこで注目されているのが、“マテリアルズ・インフォマティクス(以下、MI)”です。MIとはAIをはじめとする機械学習と情報科学(インフォマティクス)を用いて、材料開発の効率化を目指す技術・手法のことで、カーボンニュートラルの観点においても重要とされています。 この記事では、MIの概要や国内外の取り組み状況、活用にあたっての課題と解決策について解説します。 Trans Simulation


出典:内閣府『マテリアル革新力強化戦略』/大同特殊鋼技報『電機製鋼 87巻1号 2016年 計算材料科学・工学の最新動向



QuesTek Japanの材料設計ソリューション

伊藤忠テクノソリューションズ(以下、CTC)では、米QuesTek社との合併事業において、材料設計のソリューションを提供しております。QuesTek社は、材料開発におけるICME技術の先駆者である米マサチューセッツ工科大学のProf.Greg Olson氏によって設立された会社です。

今回の合併事業では『QuesTek Japan株式会社』を設立して、QuesTek社が有する技術を活用した国内向けのサービスを提供する予定です。QuesTek社のICMEコンセプトに基づき、独自の材料特性モデルやデータベースを組み合わせて、新規材料開発ならびに既存材料の諸特性を向上させる材料組成・プロセス最適化の技術サービスを提供します。

なお、CTCでは、材料プロセス設計や合金設計、材料評価などに関するソフトウェア・データベース販売、コンサルティングサービスなどを30年以上提供しております。長年培った知識・経験を基に、開発コストの削減や時間短縮を図り、これまで達成できなかった特性を得る材料設計を実現いたします。

※ICME技術とは、材料の設計、開発、最適化のために計算モデリング、シミュレーション、および実験を統合する方法論です。材料の微視的な構造や組成からマクロな特性までの関係を理解して、材料設計プロセスに科学的なアプローチをもたらすことが重視されます。


伊藤忠テクノソリューションズが提供する材料開発・設計ソリューションに関しましては下記をご参照ください。



まとめ

この記事では、ICMEについて以下の内容を解説しました。


  • 材料開発における課題
  • 材料開発のプロセスを加速するICMEとMI
  • QuesTek Japanの材料設計ソリューション


近年、材料開発の分野では、技術面・価格面における開発競争の激化や社会的ニーズの変化によって、開発時間の短縮および革新的な開発が求められています。

そのためには、従来の開発プロセスにおける属人的かつ偶発的な要素をなくすことが必要となり、ICMEとMIを融合させた科学的なアプローチが期待されています。

QuesTek Japanの材料設計ソリューションでは、従来の理論検証・実証実験による開発手法をICMEに基づくものに置き換えることによって開発コストの削減や時間短縮、および新材料の開発を実現します。詳しくは、こちらをご確認ください。

QuesTekICME材料設計ソリューション

米QuesTek社と協業し新材料の設計サービスを開始(プレスリリース)



なお、材料科学についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。

  材料科学とは? 材料設計・開発を効率化する取組み 現代の工業に影響する材料科学は、すべての“ものづくり”の基盤です。工業製品の材料・物質を研究・開発して、利用価値のある材料をつくり出すため、製造業を支える基幹技術といえます。 本記事では、材料科学の分野や研究内容とともに、材料科学の重要性について解説します。金属材料や無機材料を扱う企業で、材料科学を業務に生かしたいとお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。 Trans Simulation


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