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CAEで何が解決できる?CAEのメリットと様々な解析事例をご紹介

CAE(Computer-Aided Engineering)は、コンピュータを使ってエンジニアリングのプロセスを支援する技術です。

設計や解析などの様々な課題に対して、数値計算やシミュレーションを行うことができます。さて、CAEの導入にはどんなメリットがあるのでしょうか?これから詳しく見ていきましょう。


目次[非表示]

  1. 1.CAEとは何か
  2. 2.CAEのメリット
  3. 3.CAEの種類と解析事例
    1. 3.1.構造解析の例
    2. 3.2.流体解析の例
    3. 3.3.熱解析の例
    4. 3.4.電磁場解析の例
    5. 3.5.超音波解析の例
  4. 4.CAEの活用体制の課題
  5. 5.伊藤忠テクノソリューションズが提供するCAEアドバイザリサービス
  6. 6.まとめ
  7. 7.参考文献(図の引用)


CAEとは何か

CAE(Computer-Aided Engineering)は、コンピュータを活用して行われる工学的解析のことです。設計者がCAD(Computer-Aided Design)を使って設計を進めるのに対し、CAEでは解析を行い、構造や流体の挙動を計算します。

CAEは開発や設計などでコンピュータを使ってシミュレーションを行う技術のことです。主にCADで形状を作って、その部材が強度や振動などの条件を満たしているかどうか、コンピュータで計算して確認します。

例えば、部品の強度や振動、流体の圧力や流れ方などを、コンピュータ上で検証することができます。近年のハードウェアやソフトウェアの進化により、従来は困難で合った解析も比較的容易にできるようになり、精度の向上やコストの削減など技術者にとってはかなり便利なツールと言えます。CAEの力を借りると設計のクオリティを上げることができ、開発のスピードもアップできます。


CAEのメリット

CAEを活用することで、設計のクオリティを上げることができ、開発のスピードアップや開発における工数を抑えることができます。わずかに条件を変えたパラメータサーベイが実験に比べ容易にできたり、実験では確認できない詳細な情報をCAEでは取得できます。

また、開発の初期段階で設計者がCAEを駆使してミスやエラーを発見することで、後工程での手戻りを減らすことができます。設計開発には品質とコストが欠かせない要素であり、設計のミスやエラーが後の試作や市場投入で発覚すると、大きな損失につながることが知られています。

ですので初期段階でのCAEの活用とフロントローディングが重要です。設計の初期段階でミスやエラーを発見して、後工程での手戻りを減らして、結果的に開発全体のコストを減らすことができます。


CAEの種類と解析事例

ここからはCAEの種類と解析事例を実際の解析画像をもとにご紹介いたします。


構造解析の例

構造解析の代表例といえば、自動車の衝突解析が挙げられます。自動車分野では「安全」が最重要のキーワードであり、乗員の保護をしつつ、軽量化への取り組みが行われます。そのため、自動車の製造現場においては部品の強度検証や軽量化による強度影響の評価を行われています。ある部品が衝突によって破損しないかを検証したり、部品形状を軽量化する際、強度に大きな影響がない部分を調べたりします。このように構造解析を活用することで部品の強度検証や軽量化の評価を行うことができます。

自動車衝突

航空エンジン

”Introduction to LST and its products”より引用


流体解析の例

流体解析は、自動車や航空機などの空気力学特性の計算が代表的です。燃費向上を目的とした空気抵抗の低減に関する解析など、車体や機体の運動性能に関する解析が可能です。その他にも多くの製品の開発や研究などに用いられます。近年では、産業分野に限らず、医療分野でも生体モデルや医療機器に関する流体解析が活発に行われています。

車体周りの流れ場解析

人工心臓弁

”Introduction to LST and its products”より引用


熱解析の例

熱解析は物体と熱の相互作用を評価するための技術です。産業分野では例えば、自動車メーカーが新しいエンジンの設計段階で熱解析を利用することが挙げられます。エンジンは高い温度と圧力下で動作するため、熱解析によりエンジンの各部品が設計仕様を満たしているかどうかを評価できます。また、エンジンの熱応力解析を行うことによって、エンジンの寿命を延ばすための改善案を検討することも可能です。これにより、エンジンの開発期間を短縮し、コスト削減にもつながるため、自動車メーカーにとっては欠かせない技術となっています。一方、生活に身近なもの解析可能であり、例えば、調理用のヒーターを熱解析で模擬することができます。


熱解析

”Introduction to LST and its products”より引用


電磁場解析の例

電磁場解析のでは電流が流れる導線によって生じる磁場の強さや方向を解析することができます。

近年では電気自動車に必要不可欠なバッテリーに関する技術が注目されています。衝突やショートに対する自動車用バッテリーの電磁場解析に構造、電気、電気化学、および熱応答を組み合わせた解析などが実施されています。また製造現場における成形技術などに関する解析も実施可能です。


電磁パルス成形

バッテリーのショート

”Introduction to LST and its products”より引用


超音波解析の例

医療分野での超音波検査や治療は、非侵襲的で痛みをほとんど感じさせず、比較的安価で行えるため、広く利用されています。また、リアルタイムに画像を取得し、医師が病状の評価や治療を行うのに役立っています。また、超音波シミュレーションは医療分野での重要性が高く、精度の高い検査や治療に貢献しています。例えば、妊婦の胎児検査、脳、心臓、肝臓などの内部組織の詳細な観察を可能にします。近年では、高精度な3D超音波画像による診断や治療に貢献しています。

MRI画像とFEMメッシュ

アレイ超音波による脳内の音圧分析


CAEの活用体制の課題

設計者と解析専任者の教育と協力は、CAEの活用体制の重要な課題です。従来、CAEは解析専任者のツールと捉えられる傾向にありましたが、初期段階でのCAEの活用とフロントローディングを進めるためには、設計者も積極的にCAEツールの利用が求められます。

そのために従来の設計作業では必要とされなかった有限要素法の知識を習得する必要があります。一方、解析専任者は設計開発の経験を積んで設計者の理解を深める必要があります。お互いの専門知識を補完し合うことで、効果的なCAE活用が可能となります。

また、適切なソフトウェアとツールの選定も重要です。CAEの分野には多くのソフトウェアが存在し、それぞれが異なる機能や特徴を持っていますので自社の解析分野に合ったソフトウェアを選ぶ必要があります。

さらに、継続的なアップデートとサポートが提供される信頼性の高いツールを選ぶことも重要です。適切なソフトウェアとツールを選ぶことで、効率的な解析作業が実現できます。 この課題を解決するには、設計者と解析専任者の間でのコミュニケーションと協力が不可欠です。教育プログラムや研修の実施を通じて、お互いの専門知識を共有し、協力関係を構築することが重要です。

また、定期的なミーティングや情報共有の場を設けることで、連携を促進することも有効です。 さらに、ソフトウェアとツールの選定には、専門知識のあるエキスパートの意見を参考にすることが重要です。ITベンダーやSIerなどに相談し、自社のニーズに合った最適なソリューションを選ぶことが重要で、ソフトウェアの導入に伴うコストやランニングコストも考慮し、現実的な選択を行う必要もあります。 設計者と解析専任者の教育と協力、適切なソフトウェアとツールの選定は、CAEの活用体制を整える上で欠かせない要素です。これらの課題を解決することで、効果的なCAE活用が可能となり、設計品質の向上や開発期間の短縮などのメリットが得られるでしょう。


伊藤忠テクノソリューションズが提供するCAEアドバイザリサービス

伊藤忠テクノソリューションズがが提供するCAEアドバイザリサービスは、設計や製造プロセスを改善するための高度な解析技術を利用し、製品の品質向上や生産性の向上など、お客様のビジネスパフォーマンスを高めるためのサービスです。

伊藤忠テクノソリューションズのエキスパートたちは豊富な業界知識と経験を活かし、最適な解決策を提供し、お客様のビジネス成長を支援します。

CAE活用効率最適化、高度なシミュレーション技術、最適なソリューションの組合せなどの課題に対してお困りの方はお問い合わせください。


まとめ

CAEの活用により、品質の向上やコストの削減が可能です。ミスやエラーの発見と予防、そして改善も早い段階で行うことができます。ただし、CAEの活用体制には設計者と解析専任者の教育と協力、適切なソフトウェアとツールの選定などの課題があります。


参考文献(図の引用)

[1]Ansys, “Introduction to LST and its products”, 2020


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