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シミュレーションにおけるV&Vとは?詳細と手順についてご紹介

今回はシミュレーションにおけるV&V(検証と確認)についてお話しします。このプロセスは産業利用や研究分野でシミュレーション結果の信頼性を確保するために非常に重要です。今回はV&Vの詳細と一般的な手順に関してご紹介いたします。


目次[非表示]

  1. 1.V&Vとは何か?
    1. 1.1.検証(Verification)
    2. 1.2.確認(Validation)
  2. 2.V&Vの重要性
  3. 3.V&Vを含むシミュレーションの手順
    1. 3.1.事前検証
    2. 3.2.検証
    3. 3.3.妥当性の確認
  4. 4.伊藤忠テクノソリューションズが提供するCAEアドバイザリサービス
  5. 5.まとめ
  6. 6.参考文献


V&Vとは何か?

まず、V&Vとは何かから始めます。V&Vは、Verification(検証)とValidation(確認)の頭文字を取ったもので、シミュレーションの信頼性を評価するためのプロセスを指します。これは、シミュレーションが正確に動作していることを確認し、その結果が現実世界の現象を適切に表現していることを保証するための重要なステップです。

例えば、航空機の設計において、シミュレーションは飛行特性や燃料効率を予測するために使用されます。しかし、これらの予測が信頼できるものであるためには、V&Vが必要となります。V&Vは、シミュレーションが正確に動作していることを確認し、その結果が現実世界の現象を適切に表現していることを保証するための重要なステップです。


検証(Verification)

検証は、数値モデルが数学モデルを正確に表現しているかを確認するプロセスです。これは、数学的な仮説が正しく実装されているか、求解法が適切に適用されているか、離散化が適切に行われているかなどを確認します。検証は、シミュレーションが「正しく計算されているか」を評価します。

例えば、流体力学のシミュレーションでは、ナビエ-ストークス方程式が正しく解かれているかを確認するために検証が行われます。また、離散化の手法や精度も検証の対象となります。これらの検証作業は、シミュレーションが正確に動作していることを保証するために不可欠です。


確認(Validation)

一方、確認は、シミュレーション結果が現実世界の現象を「正確に予測しているか」を評価するプロセスです。これは、実験結果や実際の観測データとシミュレーション結果を比較することで行われます。確認は、シミュレーションが「正しいことを計算しているか」を評価します。

例えば、自動車のクラッシュシミュレーションでは、シミュレーション結果と実際のクラッシュテストの結果を比較することで、シミュレーションの確認が行われます。このような確認作業は、シミュレーションが現実世界の現象を正確に予測していることを保証するために重要です。


V&Vの重要性

V&Vは、シミュレーションの信頼性を保証するために不可欠です。これにより、シミュレーションが正確で信頼性のある結果を提供していることを確認できます。また、V&Vは、シミュレーションの改善や最適化、新たなシミュレーション手法の開発にも役立ちます。

例えば、気候変動のシミュレーションでは、V&Vによりその予測の信頼性が評価され、それに基づいて政策決定が行われます。これは、シミュレーションが現実世界の現象を正確に予測するためには、その信頼性を評価し、保証する必要があります。


V&Vを含むシミュレーションの手順

V&Vを含むシミュレーションの標準的な手順は以下のようになります。


V&Vを含むシミュレーションの標準的な手順 [1]


事前検証

事前検証では、試解析をもとに、簡素化した形状データの正確性、材料定数の単位系、要素分割の適切さなどをチェックして、入力データが正しく作成されていることを確認します。特に非線形解析の場合、新しい解析機能を使う際は事前に動作確認を行います。


検証

解析計画通りに解析が実施されていることを確認します。変形挙動や応力分布、計算誤差、反力の釣り合い、収束状態、警告・エラーメッセージなどをチェックします。


妥当性の確認

理想化した解析モデルや境界条件が適切であるかを再確認します。手計算結果との比較、クロスチェック解析、実験結果との比較などを行い、解析結果の妥当性を確認します。

これらの手順を実施する際には、優先順位を考慮して適切な作業を選択することが重要です。


伊藤忠テクノソリューションズが提供するCAEアドバイザリサービス

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まとめ

V&Vは、科学工学の世界で非常に重要な役割を果たしています。シミュレーションが現実世界の現象を正確に予測するためには、その信頼性を評価し、保証する必要があります。V&Vは、そのための重要なプロセスです。これにより、我々はシミュレーションを信頼し、それを基にした意思決定を行うことができます。

この記事が皆様の理解の一助となれば幸いです。どうもありがとうございました。


参考文献

[1] 日本計算工学会,日本計算工学会標準 工学シミュレーションの標準手順,JSCES S-HQC002,(2011)



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