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コンクリート構造物の衝突解析の評価方法は?コンクリート構成則CAPROUSを合わせて解説

この研究は、コンクリート構造物が衝突によってどのように変形し、破壊するかを評価することを目的としています。数値解析を用いることで、実際に貫通や破壊が発生する前に問題を予測できます。特に、CAPROUSというコンクリート構成則を使用することで、解析で精度よく実現象を表現することができます。

本記事ではCAPROUSの解説と解析事例を合わせてご紹介いたします。


目次[非表示]

  1. 1.衝突問題とコンクリート構造物
  2. 2.数値解析の基礎的な検討
  3. 3.解析結果の妥当性の検証
  4. 4.コンクリートの構成則の重要性
    1. 4.1.CAPROUSの概要
    2. 4.2.CAPROUSを用いた材料試験の再現解析
    3. 4.3.CAPROUSの適用事例
    4. 4.4.CAPROUSの成果と応用範囲
  5. 5.伊藤忠テクノソリューションズが提供するCAEアドバイザリサービス
  6. 6.まとめ
  7. 7.参考文献


衝突問題とコンクリート構造物

コンクリート局所破壊

ここで想定する衝突問題とは、毎秒数百メートルの速度で衝突する飛翔体とコンクリート構造物の衝突のことです。高速で衝突する物体とコンクリート構造物の相互作用は、実際には非常に複雑です。衝突によってコンクリート構造物は、たいてい変形や破壊しますが、その影響を予測することは非常に困難です。そのため、数値解析を使用して衝突解析を行い、評価する方法が用いられます。


数値解析の基礎的な検討

数値解析には様々な手法がありますが、衝突解析では一般的に有限要素法が使用されます。有限要素法は、物体の形状を有限個の要素に分割し、要素ごとに変位や応力を計算する手法です。有限要素法を使用すると、コンクリート構造物の変形や破壊の挙動を詳細に予測することができます。


解析結果の妥当性の検証

数値解析の結果は、実際の現象と一致しているかどうかを確認する必要があります。解析結果の妥当性を検証するためには、実験結果との比較や他の解析手法との比較を行うことが重要です。実験結果と解析結果が一致することで、解析手法の妥当性が確認されます。

また、解析結果の信頼性を高めるためには、精度の高いモデルと正確なデータが必要です。衝突解析における解析結果の妥当性は、材料のモデリングや解析手法の適用性などによって左右されるため、慎重な検証が必要です。


コンクリートの構成則の重要性

衝突解析における重要な要素の一つは、コンクリートの構成則です。コンクリートは非常に複雑な材料であり、変形や破壊の挙動を正確に予測するには、適切なモデルを使用する必要があります。このモデルの正確さは、解析結果の信頼性に直結します。 


CAPROUSの概要

CAPROUSは、コンクリート構造物の衝突解析に使用される材料の構成則です。この構成則は、幅広い衝突速度の衝突問題に対応するために開発されており、コンクリートの構成則を正確に設定することができます。CAPROUSモデルは ,静水圧を計算する Porous型状態方程式,偏差応力テンソルを評価する降伏モデル,そし て引張破壊を再現するためのスポール破壊規準の 3つで構成されており、降伏強度に対してはひずみ速度効果が考慮されています。また、CAPROUSは優れた計算速度と使いやすさを備えており、多くの利点があります。


CAPROUSを用いた材料試験の再現解析

コンクリートの円柱供試体を対象とした一軸または三軸圧縮状態下におけるコンクリートの動的圧縮試験、供試体を側面から圧縮することによる割裂引張試験、および、コンクリート棒に、鋼製衝突体を水平衝突させ、衝突と反対側を引張破壊させる動的引張破壊試験の3つに対し、再現性を確認しています。

解析モデル


解析モデル(割裂引張試験)


解析モデル(動的引張破壊試験)


CAPROUSの適用事例

飛翔体が厚さ70㎜の鉄筋コンクリートに3m/s~7m/sで衝突する低速度衝突試験、厚さ180㎜のプレーンコンクリート版に飛翔体を33m/sで衝突させる中速度衝突試験、厚さ100㎜のRC版に100m/sを超える速度で飛翔体が衝突する高速度衝突試験、コンクリートに数百m以上の速度で飛翔体を貫入させる高速貫入試験、の再現解析を行い、構成則の適用性を確認しています。

解析モデル(高速度衝突試験解析)


解析結果(高速度衝突試験解析)


CAPROUSの成果と応用範囲

材料試験と広範な速度領域における衝突試験により検証されたCAPROUSモデルは、今後様々な分野における活用が期待されます。

CAPROUSの詳細は下記論文をご覧ください。


J-STGAGE
土木学会 構造工学論文集Vol. 70A (2024年3月)「低速から高速までの衝突を受けるコンクリート構造物の局部破壊解析に対する改良CAPROUSモデルの適用性検討」


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まとめ

衝突解析は、コンクリート構造物の変形や破壊を予測するために重要な手法です。コンクリートの構成則の正確な設定は、衝突解析において非常に重要です。数値解析とCAPROUSの組み合わせを使用することで、より正確で詳細な解析結果を得ることができます。

今後の研究で、より高精度なコンクリートの構成則の開発や解析結果の妥当性の検証を行っていきます。これからもコンクリート構造物の衝突解析における技術発信を続けていきます。


参考文献

J-STGAGE
土木学会 構造工学論文集Vol. 70A (2024年3月)「低速から高速までの衝突を受けるコンクリート構造物の局部破壊解析に対する改良CAPROUSモデルの適用性検討」


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