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多品種小ロット生産の課題解決!業界別事例をご紹介

多品種小ロット生産は、多様な顧客ニーズに応えるために、多くの品種を少量ずつ製造する生産方式です。近年、多くの企業がこの生産方式を採用していますが、同時に多くの課題にも直面しています。本記事では、多品種小ロット生産におけるこれらの課題と、シミュレーションによるその具体的な解決策について業界別に詳しく紹介します。


目次[非表示]

  1. 1.多品種小ロット生産の課題とシミュレーションの可能性
  2. 2.シミュレーションの必要性
  3. 3.シミュレーション活用業界
    1. 3.1.食品、化学系メーカー
    2. 3.2.機械・部品メーカー
    3. 3.3.精密機器メーカー
  4. 4.伊藤忠テクノソリューションズのIntelligentTwinサービス
  5. 5.まとめ


多品種小ロット生産の課題とシミュレーションの可能性

冒頭で述べた通り、多品種小ロット生産は、多様な顧客ニーズに応えるための生産方式です。しかし、製品ごとの異なる処理やフローにより、生産作業が複雑化します。このため、生産ラインの稼働率や必要なリソースを事前に把握し、生産効率の良いレイアウトを設計することが難しくなります。また、頻繁な準備や検査が必要となり、リードタイムが長くなりがちです。さらに、作業員の多能化が求められ、配置計画や試作品の影響管理、特急品の納期予測など、多くの課題が発生します。

これらの課題に対して、シミュレーションを活用することで、効率的なリソース配分や生産ラインの最適化を図ることができるかもしれません。シミュレーションを用いた生産計画の検討が、多品種小ロット生産の課題解決にどの程度有効か、シミュレーションの必要性と業界別の適用事例とともに説明いたします。


シミュレーションの必要性

これら多品種小ロット生産特有の問題に対して、いくつかの解決策が考えられます。例えば、受注段階で受注製品を分析し適切なロット化や生産計画を立てるといった机上でできる解決策があります。しかし、生産作業が複雑な多品種小ロット生産では詳細な予測や検証を机上で行うことは困難です。生産管理システムの導入というITによる解決も大きな効果を発揮します。ただし、生産管理システムではデータの整理や管理を目的にするため、それぞれの生産ライン固有の仕様(レイアウトやフローの様子、品種ごとの作業)に基づいた精度の高い予測を行うことはできません。

最近では高度なデータ活用の一環として、AIやデータ分析ツールを使った解決が試みられています。シミュレーターを使った解決はこういったデータ活用を後押しするためのもので、従来の機械学習的なAIでは困難であったデータが足りていない生産ラインや設計前の生産ラインに対して有効です。実際にシミュレーションは、生産ラインを新規設計する計画段階、既存の生産ラインを改修や拡張する段階といった生産データが揃わない状況で使用されることが多いです。



シミュレーション活用業界

弊社が提供する生産シミュレーションソフト「Witness」は汎用的なシミュレーターであるため、様々な対象を模擬することが可能です。弊社では調味料メーカー、化学品メーカー、自動車部品メーカー、半導体部品メーカー、精密機器メーカーなどの幅広い業界で下記のような課題解決に取り組んできました。

  • どのようなライン設計にすればマシンの稼働率が高まるか検討したい。
  • どの工程で滞留が起こるのか、どれくらいの滞留が起こるのか把握したい。
  • 大規模な生産ラインで事前にどういうレイアウトにすればよいか検討したい。
  • 在庫置き場がどれくらい必要か事前に把握したい。
  • 作業員をどこに何人配置させればよいか検討したい。

具体的な業界ごとにご紹介します。


食品、化学系メーカー

食品や化学系のメーカーではタンク型のマシンや保管器が使われます。こういった場合の多品種小ロット生産では、段取り替えの際にマシンや保管器を水や溶液で洗浄する必要があることが多く、洗浄が生産力に影響します。もし、洗浄に時間がかかる場合ボトルネック工程が生まれ滞留が発生する可能性があり、洗浄の必要性や洗浄時間を考慮した生産計画(ロット化、投入順序の計画)を立てる必要があります。

弊社では、段取り替え時の洗浄を考慮しながら、滞留が発生するとして最大どれくらい溜まるのか、どの工程を並列化することで滞留が解消するのかといったことを詳細に分析し、効果的な製品投入順番(生産計画)を立てることを実現しました。


機械・部品メーカー

機械・部品メーカーでは工程が複数に分かれており、AGVやクレーン、スタッカーなどのマシンが導入されシステムが大規模になることが多いです。こういった規模の大きなモデルの場合は生産ライン計画段階でそれぞれのマシンがどれくらいに必要かというリソースの設計や、マシンをどのように配置し動線をどうすれば効率的なのかというレイアウトの設計、在庫置き場をどこにどの程度設置すればよいのかという在庫置き場の設計を事前に検討することが極めて難しいです。しかし、シミュレーターはこのような場合でも大きな効果を発揮します。それぞれ仕様が違うマシンやAGVやバッファ、能力が異なる作業員を簡単に模擬できるため、大規模であっても生産ラインを詳細に再現することが可能です。

また、処理のルールや制約を指定できるため、AGVやクレーンなど複雑な動作をするものや優先度をつけた在庫管理などを正確に模擬できます。シミュレーターではモデリングや分析が効率化されているため、フロア全体や工場全体を想定した分析でも精度高く行うことが可能です。


精密機器メーカー

精密機器メーカーではセル生産方式を採用し、生産に多くの作業員が必要となる傾向が見られます。作業員ごとに異なる能力や作業範囲、シフト、時給などを考慮する必要があり、机上で検討するには時間と労力がかかります。このような作業員計画に関することは運用フェーズで問題になることが多いですが、シミュレーション上では作業員も適切に容易に反映でき、アプローチとして有効です。

弊社では、数十人から数百人規模の作業員を想定したモデルを作成し、仕掛かり状況や生産計画をもとに必要な作業員を見積もった事例があります。また、毎朝の定例会の間にシミュレーションを実行し、どの作業場所にどの作業員を配置させるかといった作業員配置計画を作成するシミュレーション活用支援を行った事例もございます。


伊藤忠テクノソリューションズのIntelligentTwinサービス

伊藤忠テクノソリューションズでは、『IntelligentTwinサービス』を展開しています。

製造業を中心に多くの企業がデータの蓄積・活用先としてデジタルツインに積極的に取組んでいますが、「使用するデータが不足している」「取得できないデータがある」「分析技術が足りない」などの課題が挙げられます。

IntelligentTwinサービスでは、これらの課題に対して、AI、シミュレーション、数理最適化を組み合わせて、最適な価値を提供します。

また、生産性向上や新規設備投資計画、人員配置最適化などの課題に対しては、適切な手法の選定から運用フェーズでのモデル精度維持まで、さまざまな形でご支援いたします。

以上、多品種小ロット生産の特徴や代表的な弊社事例をご紹介させていただきました。他にも多くの実績や事例がございますので、ぜひお気軽にお問合せください。


まとめ

以上、多品種小ロット生産の特徴や代表的な弊社事例をご紹介させていただきました。他にも多くの実績や事例がございますので、ぜひお気軽にお問合せください。


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