生産分野の課題解決する方法とは?概要、メリット・デメリットをご紹介
生産現場の課題を解決するためには、課題ごとさまざまな手法があります。
生産現場で新規ラインの設計を行う際に定量的に評価する時や既存のラインの改修時、設備稼働の制御方法を考える時、あるいは作業員が動きやすいようなリソースの配置を計画する際などには「シミュレーション(離散系シミュレーション)」が使用されます。
昨今活用が進んでいる「機械学習」は、天候の変化や報道、社会動向などから製品の需要予測や、不良品検知、マシンの異常検知・故障予測などに用いられます。
生産計画の立案、作業員の作業計画の立案には「スケジューラ」という専用のソフトウェアが使用されます。計画だけでなく在庫の適正配分や倉庫の棚繰り、配車のルート設計などに利用される技術に「組合せ最適化」があります。
それぞれの手法についてご紹介いたします。
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シミュレーション
シミュレーションとは、現実の仕組みを模擬するモデルを作成し、現実の仕組みの代わりにモデルを使って実験を行う手法です。
時間や複雑な条件を含むシステムを扱えたり確率要素を含むシステムを扱うことができます。一方、モデルの作成技術の習得に時間がかかります。
機械学習
機械学習とは、大量のデータから自動的に法則やルールを見つけ出してモデルを作成し、そのモデルに分析したいデータを与えることで学習した法則やルールに則り解を導く手法です。
人間がルールを設定する必要がなく、複雑な問題でも短い計算時間でなんらかの解を得ることができます。
一方、学習のために大量の良質なデータが必要になります。学習用のデータが結果の導出に必要な情報を含んでいない場合や異常値が多い場合、量が足りない場合などでは良い結果が得られません。
スケジューラ
スケジューラとは、タスク(作業)の優先度や制約条件などを指定して、タスクの処理順序や時期を決めるプログラムです。
制約条件を持った作業を対象とする点ではシミュレーションと同じですが、処理順序や時期の決定に特化している点がシミュレーションとは異なります。
専用のスケジューラソフトウェア製品が存在し、それを利用すれば使い方が簡単で、ガントチャートなど表示がきれいでわかりやすいです。一方、そのソフトが想定していない条件は盛り込むことができず、条件を無視したり簡易化する必要が生じることがあります。確率要素も含むことができません。
組合せ最適化
組合せ最適化とは、数式で制約条件を記述してモデルを作成し、そのモデルに分析したいデータを与え、なるべく良い組合せを探し出す手法です。
最適解が得られた場合は、数学的な最適性が保証されており、探索途中の暫定解であっても近似最適解からの乖離が定量的に把握することが可能です。
一方、モデルの作成技術の習得に時間がかかり、時間を含む問題(スケジューリング問題など)への適用が難しいことがあります。また、組合せが多い場合は、解を得るための時間が長くなることがあります。
しかし、近年のハードウェア、ソフトウェアの発展により、実用的な規模の問題が現実的な時間で解けるようになり、ビジネスの課題を解決するひとつの手法として適用範囲を広げています。
各手法の概要・メリット・デメリットまとめ
生産分野の課題解決における各手法の概要・メリット・デメリットをご紹介します。
シミュレーション
現実での実験の代わりに現実を模擬したモデルを使って実験を行うための手法
メリット
・時間や複雑な条件を含む問題のモデリングが可能
・モデルがあれば何らかの解の生成可能
デメリット
・モデルの作成技術の習得に時間がかかる
機械学習
大量のデータから自動的に法則やルールを見つけ出してモデルを作成し、そのモデルに分析したいデータを与えることで学習したい法則やルールに則り解を導く手法やプログラム
メリット
・人間がルールを設定する必要がない
・学習済のモデルがあれば複雑な問題でも短い計算時間で何らかの解が生成可能
デメリット
・学習のために大量の良質のデータが必要
スケジューラ
タスクの優先度などの制約条件を指定して、タスクの作業順や時期を決めるプログラム
メリット
・専用の製品が存在し、操作が簡単であったり、表示がきれいでわかりやすい
デメリット
・製品が保有する性能に依存し、複雑な条件づけが難しい
組合せ最適化
数式で制約条件を記述してモデルを作成し、そのモデルに分析したデータを与えてなるべく良い組合わせを探す手法やプログラム
メリット
・最適解が得られた場合は、数学的な最適性が保証されている
・探索中の解と近似最適解との乖離度の定量化が可能
デメリット
・モデルの作成技術の習得に時間がかかる
・時間を含む問題への適用が難しい
・組合せが多い場合は解を得るための計算時間が長くなる
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参考文献
『シミュレーション解析入門』三恵社 石川友保 編