
BIM/CIM原則適用:設計フェイズにおけるBIM/CIMモデルの作成・活用
国交省からBIM/CIM原則適用が掲げられ、BIM/CIMモデルはさまざまな場面で活用されています。本記事では、設計フェイズにおけるBIM/CIMモデルの作成と活用について詳しく説明します。
目次[非表示]
- 1.設計フェイズにおけるBIM/CIMモデル活用シーン・利点
- 2.3次元モデル作成の課題点
- 3.3次元地質モデル作成ソフトウェアの必要性
- 3.1.① 情報共有の効率化
- 3.2.② 設計精度の向上
- 3.3.③ コスト削減
- 3.4.④ リスク管理の強化
- 3.5.⑤ 維持管理の効率化
- 4.3次元地質モデル作成ソフトウェアに求められるもの
- 4.1.① 地質調査データの読込・管理機能
- 4.2.② 3次元地質モデルの作成・妥当性確認機能
- 4.3.③ 3次元地質モデルの可視化機能
- 4.4.④ 属性情報の付与・更新機能
- 4.5.⑤ 他のBIM/CIMソフトウェアとの連携機能(データの互換性)
- 5.まとめ
設計フェイズにおけるBIM/CIMモデル活用シーン・利点
設計フェイズにおいて、BIM/CIMモデルはプロジェクトの視覚化、設計の最適化、コストの見積もり、施工計画の立案などで活用されています。例えば、以下のような活用シーンが考えられます。
- 建物のBIM/CIMモデルを使用して設計意図を明確に伝えたり、異なる設計案を比較検討する。
- インフラプロジェクトで、3次元地質や地下構造物のBIM/CIMモデルを作成し、予期しない問題の発生を未然に防ぐ。
また、設計フェイズでBIM/CIMモデルを活用するメリットを以下に示します。
3次元モデル作成の課題点
地上の構造物のモデリングには多くの専用ソフトウェアが存在し、互換性も高いものが多いです。しかし、地表面より下の3次元地質モデルの作成には、以下のような課題点があります。
- 特化したソフトウェアが少ない
- データの互換性が低い
- モデリングの難易度が高い
以下に、3次元モデル作成ソフト(構造物)と3次元地質モデル作成ソフトの比較を示します。
3次元地質モデル作成ソフトウェアの必要性
3次元地質モデルを正確に作成するためには、専用のソフトウェアが不可欠です。これらのソフトウェアは、設計者が効率的に3次元地質モデルを作成できるようサポートします。
BIM/CIM対応に3次元地質モデル作成ソフトウェアを導入することで、以下のような多くのメリットがあります。
① 情報共有の効率化
3次元地質モデルを導入することで、関係者間での情報共有が迅速かつ正確に行えます。視覚的に3次元地質の状態を確認できるため、コミュニケーションの齟齬が減少し、プロジェクトの進行がスムーズになります。
② 設計精度の向上
地質の詳細な3次元モデルを使用することで、設計段階での精度が向上します。地質の特性を正確に把握できるため、設計ミスを未然に防ぐことができます。
③ コスト削減
3次元地質モデルを活用することで、設計段階での無駄を削減できます。例えば、地質の特性を正確に把握することで過剰な補強工事を避けることができ、コストの削減につながります。
④ リスク管理の強化
3次元地質モデルを用いることで地質に関するリスクを事前に評価し、適切な対策を講じることができます。これにより施工中のトラブルを減少させ、安全性を確保することができます。
⑤ 維持管理の効率化
3次元地質モデルは施工後の維持管理にも役立ちます。地質の状態を継続的にモニタリングし、必要なメンテナンスを計画的に行うことで、長期的なコスト削減と安全性の向上が期待できます。
3次元地質モデル作成ソフトウェアに求められるもの
3次元地質モデル作成ソフトウェアには、以下のような要件が求められます。
① 地質調査データの読込・管理機能
大量の地質調査データ(ボーリングデータ等)のインポートや一元管理可能な機能が必要になります。
② 3次元地質モデルの作成・妥当性確認機能
初心者でも比較的容易に3次元地質モデルを作成可能で、複雑な操作なくモデルの妥当性確認を行えることが求められます。
③ 3次元地質モデルの可視化機能
3次元地質モデルを簡単に3D表示させたり、3次元地質モデルから簡単に断面図(断面図内の地質境界を含む)を切り出せることが求められます。
④ 属性情報の付与・更新機能
3次元地質モデルには多くの属性情報(地質区分、地下水位、土質特性など)が含まれますが、これらの情報を正確に収集し、モデルに反映させることは容易ではありません。属性情報の更新や変更も頻繁に発生し、その管理が難しいです。
そのため、複雑な操作なしに3次元モデルへ属性を付与・更新できることが求められます。
⑤ 他のBIM/CIMソフトウェアとの連携機能(データの互換性)
データ連携は、施工などの後工程への引き継ぎ等において重要な要素です。スムーズなデータ連携により、プロジェクト全体のデータ統合が容易になり、設計の一貫性が保たれます。そのためには、対象のソフトウェアのデータ互換性が保たれていることが求められます。
伊藤忠テクノソリューションズが提供するソリューション
伊藤忠テクノソリューションズは、3次元地質モデルの作成を可能するソリューションとして、GEORAMA for Civil3Dを提供しています。GEORAMAは、3次元地盤・地質モデルを作成するソフトウェアであり、以下の特徴があります。
① データの互換性・操作性
データ形式や操作性はAutoCADに準拠している。
② モデリング
モデル作成に複雑な3D操作は必要なく、操作のほとんどは2次元上で実施できる。
③ 属性の付与
作成モデルに属性が自動で付与される。
④ モデルの修正
モデルの修正は2次元(断面図)上で実施可能。
⑤ モデルの妥当性確認
モデルの妥当性確認は、3次元上はもちろんのこと2次元上でも実施可能(妥当性確認が容易)
本記事で紹介したGEORAMAを含め、CTCではBIM/CIMに関するソフトウェアを取り揃えております。詳細は下記資料をご覧ください。
まとめ
3次元地質モデル作成ソフトウェアの選定は容易ではありません。複数のソフトウェアが存在し、それぞれが異なる特徴や機能を持っています。そのため、最適なソフトウェアを選ぶためには、詳細な比較検討が必要です。
また、3次元地質モデル作成には専門的な知識が求められるため、ソフトウェアの操作性やサポート体制も重要な選定基準となります。既存システムとの互換性も考慮しなければなりません。
設計フェイズにおけるBIM/CIMモデルの作成と活用は、プロジェクトの成功に不可欠な要素です。3次元地質モデルの作成には多くの課題がありますが、適切なソフトウェアを活用することで、これらの課題を克服し、設計の精度と効率を向上させることができます。
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