
数理最適化で迅速対応!災害時に建設業に求められる役割とは?
最適化原理とは、特定の目的を達成するために最善の手段を見つけることを指します。現実の問題を最適化問題に定式化し、それを解く数値計算手法を含めて呼ばれ、製造業・サービス業・放送業・運輸業など幅広い業界で用いられています。
特に建設業では、災害時の緊急招集や建設物点検など、迅速かつ最適に体制を整える方法として最適化原理が期待されています。本記事では、災害時における建設業界に求められる役割と数理最適化による貢献方法について紹介します。
目次[非表示]
- 1.災害復興における建設業の役割
- 2.数理最適化技術による災害時の貢献
- 2.1.復旧作業のスケジューリング
- 2.2.ライフラインの復旧
- 2.3.物資の供給計画
- 3.伊藤忠テクノソリューションズが提供する数理最適化ソリューション
- 4.おわりに
災害復興における建設業の役割
災害が発生し、甚大な被害を受けた被災地の復旧における初動において、土木・建設業の技術力が重要な役割を果たしています。土木分野の叡智を被災現場で活用することにより、被害の拡大を最小限に抑え、より迅速で安全な復旧の手助けへとつながり、地域社会の復興を支えています。
応急対応と復旧
災害発生直後に建設業の企業が応急対応に協力することは、地域社会の安全と復興に直結します。具体的には、道路の啓開やがれき撤去、ライフラインの復旧がその一部です。直近の例を挙げると、2024年の能登半島地震では、ゼネコン各社がすぐに現地に駆けつけ、24時間体制で道路の復旧に尽力し、交通網の確保に貢献しました。能登半島地震では、各ゼネコンは土木工事や建築工事、インフラ復旧といった分野におけるそれぞれの強みを活かして、プロジェクトごとに担当企業を決定し、効率的な分業を実現しています。
長期的な復興支援
災害の応急対応が一段落した後は、長期的な復興支援のフェーズへと移行します。2011年に発生した東日本大震災後の護岸工事では、リサイクル材を使用した耐久性の高い護岸が建設され、津波災害に対する防御力が強化されました。また、能登半島地震では、地域に根ざす建設会社が被災者のニーズに応じた仮設住宅を提供し、被災者から喜びの声が挙がっています。復興支援にあたっては、ゼネコンのみならず、地域密着型の建設会社だからこそできるサポートや取り組みが重要になります。例えば、災害後の清掃作業や、仮設住宅の居住環境の改善など、住民が直面する日常の課題にも企業の力が必要です。被災者の意見を直接聞きながら、必要な補修工事や仮設住宅の追加工事などを即座に行えるのは、地場の企業ならではの強みと言えます。
このような、可視化されにくいニーズをキャッチし、現場で親切丁寧に対応することこそが、災害時に地域の建設会社に求められる役割です。
数理最適化技術による災害時の貢献
数理最適化技術は以下のような方法で災害時の建設業に貢献できます。
復旧作業のスケジューリング
災害時には迅速な復旧作業が求められます。数理最適化技術を用いることで、復旧作業のスケジューリングをリアルタイムに行い、効率的な計画を立案することが可能です 。これにより、被害の拡大状況や復旧の作業進捗など、状況の変化に応じた最新の復旧計画を提示することができます。
ライフラインの復旧
数理最適化技術を活用して、電気、水道、ガスなどのライフラインの復旧作業を最適化することができます。例えば、最適な復旧ルートを計算し、迅速かつ効率的にライフラインを復旧するための計画を立てることができます
物資の供給計画
災害時には被災地への生活物資供給が重要です。数理最適化技術を用いることで、物資の供給計画を最適化し、必要な物資を迅速に供給するためのルートや方法を計算することができます。
伊藤忠テクノソリューションズが提供する数理最適化ソリューション
『伊藤忠テクノソリューションズ』では、“数理最適化ソリューション”を提供しています。数理最適化ソリューションである「Gurobi Optimizer」は、業務に必要な人数を、担当者のスキルを考慮しながら、作業場所・作業内容ごとに確保できます。スキル情報も管理しており、未熟者と熟練指導官のペアリング割り当てを行うことによる業務品質レベルの維持と未熟者のスキル向上を図るといったこともできます。
また、業務の割り当ての視点だけではなく、従業員の勤務負荷を平準化することに重きをおいたり、労働コストの抑制に重きをおいた勤務割当を作成することも可能です。本記事で紹介した、災害時の緊急招集にも、平常時の交代制勤務にもご活用頂けます。
おわりに
本記事では、災害時における建設業界に求められる役割と数理最適化による貢献方法について紹介しました。弊社では、BIM/CIM・解析技術やAIなどテクノロジーを掛け合わせ、新たな技術を日々開発しております。建設分野におけるソリューションやデータ分析・省人化等の事例についてご興味のある方は、ぜひお気軽にご連絡ください。
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