
Reduced Order Model(ROM)とは?大規模計算分野とデジタルツインでの活用をご紹介
大規模計算の分野において、計算効率を高めるための技術として注目されているのがReduced Order Model(ROM)です。ROMは、複雑なシミュレーションを高速で実行するための手法であり、大規模なデータセットや高精度モデルの計算負荷を大幅に軽減することができます。本記事では、ROMの概要とその応用例について解説し、特にMBD(モデルベース開発)やデジタルツイン構築における利点を探ります。
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Reduced Order Model(ROM)とは
Reduced Order Model(ROM)は、縮退モデルやサロゲートモデルとも呼ばれ、3D物理モデルに基づく複雑なシミュレーションを簡略化し、計算時間を大幅に短縮する技術です。具体的には、主要な物理特性を保持しながら、必要な自由度を削減することで、計算負荷を低減します。これにより、リアルタイムシミュレーションや多様なパラメータ探索が可能となります。
大規模計算の高速化
従来の大規模計算では、高精度なシミュレーションのために膨大な計算リソースが必要でした。例えば、航空機の空力解析や自動車の衝突シミュレーションなど、複雑な物理現象を伴うシミュレーションにおいて、ROMを導入することで計算時間を大幅に短縮し、コスト削減と効率向上を実現します。
MBD(モデルベース開発)への適用
ROMは、MBD(モデルベース開発)の分野でも重要な役割を果たしています。MBDは、製品開発プロセスにおいて、設計モデルを中心に据えたアプローチです。ROMを活用することで、高精度なモデルシミュレーションを短時間で実行し、設計の初期段階から詳細な解析を行うことが可能となります。
伊藤忠テクノソリューションズが提供するCAEアドバイザリーサービス
伊藤忠テクノソリューションズが提供するCAEアドバイザリサービスは、設計や製造プロセスを改善するための高度な解析技術を利用し、製品の品質向上や生産性の向上など、お客様のビジネスパフォーマンスを高めるためのサービスです。
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デジタルツイン構築のためのROMの応用例
デジタルツインは、実機と仮想モデルを同期させ、リアルタイムでモニタリングや解析を行う技術です。ROMを活用することで、3D CAEモデル結果や収集した実機データとリアルタイムに同期をさせることが可能となり、仮想センサを実装することで、より効率的で精度の高いデジタルツインを構築することができます。
NVIDIA Omniverse上でのデジタルツイン構築
図 Omniverseとシミュレーション連携のイメージ※
NVIDIA Omniverseは、複数の設計ツールやシミュレーションエンジンを統合し、リアルタイムでコラボレーションし、仮想空間を構築するプラットフォームです。ここでは、ROM技術を活用してデジタルツインを構築する活用例を紹介します。
ある製造設備において、3D CAEモデルを用いた詳細なシミュレーションが行われました。次に、このモデルをROMやサロゲート化し、NVIDIA Omniverse上で実機と同期させます。これにより、仮想センサを実装し、設備の動作状況をリアルタイムかつ仮想空間でモニタリングすることが可能となります。例えば、温度や振動のデータを継続的に取得し、異常が発生した際には即座にアラートを出すといったことも可能です。このように、NVIDIA OmniverseとROM技術を組み合わせることで、より高度なデジタルツインを構築することができ、設備の保守や運用における効率を飛躍的に向上させることが可能です。
伊藤忠テクノソリューションズでは、NVIDIAの最上位パートナーとして、NVIDIA Omniverseの有効な活用方法を含め、「デジタルツイン構築サービス」をご提供させていただいております。
NVIDIA Omniverse詳細に関しましては下記資料をご参照ください。
※出典:NVIDIA Corporation
まとめ
Reduced Order Model(ROM)は、大規模計算の高速化やMBD(モデルベース開発)、デジタルツインの構築において非常に有効な技術です。高精度なシミュレーションを短時間で実行することができ、コスト削減やリアルタイム解析を実現します。特に、NVIDIA Omniverseを用いたデジタルツイン構築のための連携技術は、今後ますます高度化する製品開発や設備運用のニーズに応えることが可能になると期待されます。
ROMの利点
- 高速化: シミュレーション時間を大幅に短縮し、リアルタイム解析を可能にします。
- コスト削減: 計算リソースの効率的な利用により、コストを削減します。
- 精度保持: 主要な物理特性を維持し、高精度な解析を実現します。