サロゲートモデルとは? シミュレーション×AIで業務改善を実現!

サロゲートモデルとは? シミュレーション×AIで業務改善を実現!

シミュレーションの技術は、現代社会においては必要不可欠であり、設計製造や建築・建設、気象、物流など、人々の生活を支えるあらゆる分野で活用されています。

しかし、シミュレーションの対象が複雑になるにつれて、計算量も大幅に増大しているという課題もあります。

そのようななか、AIでシミュレーションの計算を代替させる技術として、“サロゲートモデル”が注目されています。

本記事では、サロゲートモデルとはどのような技術なのか、メリット・デメリットも併せて解説しながら、サロゲートモデルの構築・運用支援サービスを紹介します。


目次[非表示]

  1. 1.サロゲートモデルとは
  2. 2.シミュレーションの課題をサロゲートモデルで解決
  3. 3.サロゲートモデルのメリット・デメリット
  4. 4.伊藤忠テクノソリューションズのサロゲートモデル構築・運用支援サービス
  5. 5.まとめ


サロゲートモデルとは

サロゲートモデルとは、AIにCAE()の計算結果を学習させて、計算結果を予測する手法のことです。CAE代理モデルとも呼ばれています。

時間のかかる数値シミュレーションを行わずとも、AIが高速にCAEの結果を予測して検証が行えます。結果、設計・解析のフェーズを効率化できるだけでなく、既存の手法では検証できなかった網羅的な条件探索も可能です。

CAEは、試作品を製造することなくコンピューター上で予測を行えるため、検証にかかるコストを抑えられる一方で、計算に時間がかかる点が課題として挙げられます。

一方、サロゲートモデルは、過去のデータを基にAIが予測を行うため、CAEよりも迅速に計算結果を得られます。

※CAE(Computer Aided Engineering:計算機援用工学)とは、コンピューターを使って設計の妥当性を検討・評価する手法全般のこと。



シミュレーションの課題をサロゲートモデルで解決

先述したとおり、CAEには計算に時間がかかるという課題があります。この課題を解決する方法として、サロゲートモデルの活用が挙げられます。

サロゲートモデルは、必要な入力情報を与えると瞬時に結果を出すことができるため、特に設計者CAE(※1)を導入する現場での活用が期待されています。

設計者CAEは、“専任者CAE”(※2)とよばれる従来の手法と異なり、設計担当者自身がシミュレーションを行うことで、業務効率化を実現します。加えて、サロゲートモデルを用いることで、さらなる業務効率化が期待できます。


サロゲートモデル


具体的には、CAEによる計算結果を機械学習させることで、物理シミュレーションに近い計算結果を高速に予測できるようになります。また、CAEのなかでも計算コストが大きな部分をサロゲートモデルに置き換えることで、より複雑な計算も現実的な時間で実行可能です。

※1・・・設計者CAEとは、製品の設計担当者がみずからシミュレーションを行う手法のこと。
※2・・・専任者CAEとは、設計の解析を専門としている人がシミュレーションを行う手法のこと。



サロゲートモデルのメリット・デメリット

従来のCAEの代理モデルとして注目を集めているサロゲートモデルには、以下のようなメリット・デメリットが挙げられます。


▼サロゲートモデルのメリット・デメリット

項目
詳細
メリット
  • 計算コストが低い
  • CAE熟練者でなくても扱える
デメリット
  • 機械学習外の計算は精度が落ちる可能性がある
  • 機械学習の微調整に専門性が求められる


サロゲートモデルであれば、対象や手法によってはCAEでは解析に数日間かかっていたような計算も数秒~数十分で行える場合があります。たとえば設計変数の最適化のように、大量のケースを用いて計算する際にも役に立ちます。

また、機械学習によってAIが自動で計算を行うため、CAEの知識が浅い担当者でも扱えるという点もメリットです。

一方で、機械学習の範囲外の内容を求めると計算の精度が落ちる可能性があります。さらに、機械学習の工程では、微調整を繰り返して予測の精度を上げていくため、機械学習に関する一定の専門性が求められるという点もデメリットの一つです。



伊藤忠テクノソリューションズのサロゲートモデル構築・運用支援サービス

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伊藤忠テクノソリューションズ(以下、CTC)では、サロゲートモデルの構築・運用に関して多くのソリューションをご提供いたします。


▼サロゲートモデル構築・運用に関するソリューション例

ソリューション
詳細
PoC(Proof of Concept:概念実証)
お客さまの課題がサロゲートモデルを用いて解決できるかを検証するソリューション
アプリケーション開発
お客さまが本格利用するためのソリューション
データ活用基盤システム開発
お客さまの社内で生成される大量のシミュレーションデータをサロゲートモデル構築に活用するためのソリューション


 一言でシミュレーションといっても、対象や現象などにより、解析手法は異なります。そのため、サロゲートモデルも解析手法や対象によってカスタマイズが必要になるケースがあります。

CTCでは、AI開発の技術者だけでなく、物理シミュレーションのプロフェッショナルも多数所属しており、双方の知見を生かすことで適切なサロゲートモデル構築を行います。
 
 また、実運用で必要となるデータ活用基盤も、オンプレ・クラウド・ハイブリッドなどお客さまの状況を考慮して適切なシステム提案が可能です。

科学システム本部の提供するサービス詳細については、こちらもご参照ください。



まとめ

この記事では、サロゲートモデルについて以下を解説しました。


  • サロゲートモデルとは
  • シミュレーションの課題をサロゲートモデルで解決
  • サロゲートモデルのメリット・デメリット
  • 伊藤忠テクノソリューションズのソリューション


サロゲートモデルとは、従来のCAEで行われるシミュレーションの結果をAIが学習し、その学習内容を基にシミュレーション結果を算出する方法です。

AIにより高速に計算結果を導き出せるため、一から計算を行う数値シミュレーションと比較すると、計算コストを大幅に削減することができ、業務効率化にもつながります。

伊藤忠テクノソリューションズでは、サロゲートモデルの構築・運用支援として、コンサルティングやクラウドサービス、データ生成・収集、サロゲートモデル開発など、包括的なサービスをご用意しています。


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