
第1回:「なぜ属性情報が必要なのか?」〜BIM/CIMの基本と課題〜
はじめに:BIM/CIMの進化と期待
建設業界では、図面中心の業務から3Dモデルを活用したBIM(Building Information Modeling)やCIM(Construction Information Modeling/Management)への移行が進んでいます。これらは単なる「立体的な図面」ではなく、設計・施工・維持管理までを一貫して支える情報基盤として期待されています。
しかし、現場では「モデルは作ったが、使い道がない」「見た目は立派だが、情報が足りない」といった声も少なくありません。これは、モデルに属性情報が十分に付与されていないことが原因です。
目次[非表示]
属性情報がないモデルの限界
属性情報とは、部材の材質、寸法、メーカー、施工履歴、管理番号など、モデルに紐づく「意味のあるデータ」のことです。これがないと、モデルはただの形状データに過ぎず、検索もできず、他システムとの連携も困難になります。
たとえば、ある橋梁の3Dモデルがあっても、「この部材は何年に施工されたのか」「どの業者が担当したのか」「点検履歴はあるか」といった情報がなければ、維持管理には使えません。つまり、属性がなければ、BIM/CIMは“見える化”止まりで終わってしまうのです。
属性情報によって得られる価値
属性情報を適切に付与することで、モデルは「使えるデータベース」へと進化します。
たとえば、以下の価値があげられます。
- 検索性の向上:部材名や施工年で絞り込みが可能
- 連携性の向上:他の業務システム(FM、資材管理、工程管理など)と連携しやすくなる
- 意思決定支援:老朽化部材の優先更新や、点検計画の立案に活用できる

さらに、属性情報はAIやデジタルツインの活用にも不可欠です。将来的には、モデルに蓄積された属性データをもとに、劣化予測や最適なメンテナンス計画の自動生成も可能になるでしょう。
今こそ属性付与に取り組むべき理由
建設業界が本格的にDXを進めるためには、BIM/CIMを単なる3Dモデルではなく、「情報の塊」として扱う必要があります。その第一歩が、属性情報の体系的な付与です。
もちろん、属性付与には手間もかかります。しかし、長期的に見れば、業務効率化、品質向上、コスト削減、そして将来のAI活用への布石となる重要な投資です。
おわりに/次回予告
次回は、属性情報が設計・施工・維持管理の各フェーズでどのように活用され、業務効率化に貢献するのかを具体的に掘り下げていきます。
伊藤忠テクノソリューションズの取組み

伊藤忠テクノソリューションズでは、今回の記事に関連したソリューションを提供しております。
ソフトウェアの開発・販売だけでなく、それらのカスタマイズ開発や技術サポート、コンサルティングサービスもご提供しています。BIM/CIM対応、属性情報に関して課題をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。
【関連記事】











