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第3回:すべてをデジタル化する必要はない

はじめに:「全部やる」は、結局どれも進まない

前回までの記事で、建設業界が抱える課題と、現実的な解決策についてご紹介してきました。しかし、いざデジタル化を進めようとすると、こんな悩みに直面する企業が多いのではないでしょうか?

「何から手をつければいいのか分からない」
「全部やろうとすると、現場が混乱する」
「本当に効果があるのか不安」

そこで今回は、「何を優先してデジタル化すべきか?」を明確にし、優先順位の考え方とその根拠をお伝えします

目次[非表示]

  1. 1.はじめに:「全部やる」は、結局どれも進まない
  2. 2.デジタル化すべき業務と、そうでない業務
    1. 2.1.優先的にデジタル化すべき業務
    2. 2.2.優先度が低い業務
  3. 3.優先順位の判断基準:この3つで考える
  4. 4.優先順位マトリックスで整理してみよう
  5. 5.「全部やらない」ことが成功のカギ
  6. 6.現場の声を優先することが、最大の成功要因
  7. 7.おわりに:優先順位をつけることは、戦略をもつこと
  8. 8.伊藤忠テクノソリューションズの取組み

デジタル化すべき業務と、そうでない業務

優先的にデジタル化すべき業務

業務領域

理由

図面管理

紙図面の差し替えミスや手戻りを防ぐため。クラウド共有で最新版を即時確認可能。

工程管理

工期遅延のリスクを減らす。リアルタイムで進捗を把握できる。

安全管理

労災防止・法令対応に直結。写真・報告書の電子化で証跡も残る。

原価管理

利益確保のために必須。Excelから脱却し、見える化を実現。

優先度が低い業務

業務領域

理由

社内文書の電子化

効果が限定的。紙でも大きな問題はない。

会議録の自動化

導入コストに対して効果が薄い。

社内SNSやポータル

現場との連携には不向きな場合も多い。

優先順位の判断基準:この3つで考える

■ 業務インパクト

  • ミスが減るか?
  • 時間が短縮されるか?
  • 利益に直結するか?

■導入コスト

  • 初期費用はどれくらいか?
  • 社内教育にどれだけ時間がかかるか?

■導入コスト

  • 現場がすぐ使えるか?
  • スマホやタブレットで対応できるか?

優先順位マトリックスで整理してみよう

優先度

業務例

理由

図面管理、工程管理、安全管理

ミス削減・法令対応・利益確保に直結

原価管理、写真管理、勤怠管理

効果はあるが、導入に工夫が必要

社内文書、会議録、社内SNS

効果が限定的、現場との関係が薄い

「全部やらない」ことが成功のカギ

デジタル化というと、「すべての業務をIT化しなければならない」と思いがちですが、それは誤解です。むしろ、やらないことを決めることが、成功への近道です。

 「この業務は紙のままでいい」

 「このツールは現場に合わない」

 「この機能は今は使わない」

こうした“引き算の判断”が、現場の混乱を防ぎ、定着率を高めます。

現場の声を優先することが、最大の成功要因

経営層や情報システム部門が「良かれと思って」導入したツールが、現場で使われない — これはよくある失敗です。だからこそ、現場の声を最優先に。

 「紙の方が早い」と言われたら、なぜそう思うのかを聞く

 「スマホで見られるなら使いたい」と言われたら、それを実現する

 「この機能は要らない」と言われたら、潔く削る

現場が「使いたい」と思える仕組みこそが、真のDXです。

おわりに:優先順位をつけることは、戦略をもつこと

建設業のデジタル化は、単なるIT導入ではなく、経営戦略の一部です。限られたリソースの中で、どこに投資し、どこを後回しにするか。その判断が、企業の未来を左右します。

次回は、いよいよ最終回。CDEやBIM/CIMを活用した、建設業のデジタル化の進め方について、具体的なステップをご紹介します。

伊藤忠テクノソリューションズの取組み

伊藤忠テクノソリューションズでは、今回の記事に関連した「各種ツール」の販売/導入支援や業務見えるかをご支援しております。

建設業におけるDX化で課題をお持ちの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。課題に合わせたソリューション情報提供をさせて頂きます。

 

 

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