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【デジタルツイン事例】配管流動デジタルツインのメリットと課題について

近年、デジタルツインについて積極的に取り組む企業が年々増えてきております。

流体に関するデジタルツインの活用例の1つとして、管路網の流体や熱の流れを1次元熱流動シミュレーションにより仮想空間上にリアルタイムに再現する技術があります。

この記事では、1次元熱流動シミュレーションを駆使した配管流動デジタルツインの活用とメリットについてご紹介致します。

目次[非表示]

  1. 1.デジタルツインと1次元熱流動シミュレーション
  2. 2.配管流動デジタルツインのメリット
    1. 2.1.リアルタイムでの状態可視化
    2. 2.2.異常の早期検知
    3. 2.3.安定運転の実現
  3. 3.配管流動デジタルツイン活用の流れ
    1. 3.1.ステップ1:デジタルツインの構築
    2. 3.2.ステップ2:埋設管の漏水検知
    3. 3.3.ステップ3:漏水箇所の特定
  4. 4.伊藤忠テクノソリューションズの1次元熱流動シミュレーションとデジタルツインサービスのご紹介
  5. 5.まとめ

デジタルツインと1次元熱流動シミュレーション

本題に入る前に、今回登場するデジタルツインとシミュレーションについて簡単に説明します。

まずデジタルツインとは、現実世界で収集したデータを仮想空間(サイバー空間)上で再現する技術、また再現したモノを指します。

デジタルツインを活用することで、現実世界では視認することが難しい事象を仮想空間上で確認、分析することが可能になります。

デジタルツインの詳細については、こちらをご覧ください。


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実在空間の流体や熱の流れを仮想空間に再現する場合、配管に取り付けられた圧力計などの限られたセンサーデータからその状態をリアルタイムに再現する必要があります。

デジタルツインのイメージ

そのため、高速に流体や熱の流れを計算できる1次元熱流動シミュレーションがデジタルツイン作成に使用されます。

1次元熱流動シミュレーションですが、主に大規模な流れの様子を短時間で計算できることが特徴で、数キロメートルにわたる管路網の流量や圧力などを計算し、管路網の流れを予測したい場合などに活用されます。

また、配管の寸法等の形状データ、ポンプやバルブ動作等の運転データがあれば比較的容易に仮想空間上に管路網を再現することができ、デジタルツインとして配管の内部状態を確認することができます。
 
1次元熱流動シミュレーションの詳細については、こちらをご覧ください。


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配管流動デジタルツインのメリット

1次元熱流動シミュレーションによる配管流動デジタルツインのメリットとして、以下のような例が挙げられます。

リアルタイムでの状態可視化

実在空間では場所によってはセンサーが設置できないことがあるため、実機センサーから得られる情報が制限されることから、実在空間の状況をリアルタイムで確認することが難しい場合があります。

しかし、配管流動デジタルツインでは設置するセンターに制限がないため、リアルタイムで実在空間の現象を仮想空間上で再現し可視化することができます。

異常の早期検知

実機センサーから得られる情報だけでは物理的に異常が起きているのか判断するのが難しい場合があり、異常が発生しても見逃してしまうおそれがあります。

しかし配管流動デジタルツインでは、実機センサーとデジタルツインのデータを比較することができるので、配管の漏水など実在空間で異常が発生した場合、デジタルツインとのデータに差異が生じます。

その結果、センターデータのみでは判断が難しい異常を把握することができます。

安定運転の実現

配管流動デジタルツインでは、先に説明したリアルタイムでの状態可視化、そして異常の早期発見が行えることかできます。

そのため、異常が顕在化する前にピンポイントで実機のメンテナンスを行うことで、プラント設備などの安全運転を実現します。


配管流動デジタルツイン活用の流れ

1次元熱流動シミュレーションによる配管流動デジタルツインのメリットを説明しましたが、埋設管における活用と手順についてご紹介致します。

ステップ1:デジタルツインの構築

まず、埋設管を仮想空間上に再現してデジタルツインを構築します。

1次元流体シミュレーションでは配管の寸法等データを用いて埋設管を仮想空間上に作成し、また実機のセンサーデータをシミュレーションにリアルタイムに反映させます。

そして、仮想空間上で再現した埋設管から得られるデータと、実在空間から得られるセンサーデータが一致するよう調整することで、配管流動デジタルツインの構築が完了します。

1次元熱流動シミュレーションで再現した管路網のイメージ


ステップ2:埋設管の漏水検知

次に、実機のセンサーデータとデジタルツインで得られる埋設管の状態をリアルタイムで比較して可視化します。

すると、埋設管で漏水が発生した際、実機のセンサーデータのみでは漏水時の現象を判断することが難しい場合があります。

しかし、リアルタイムでデジタルツインとの状態を比較することで、異常発生を早期に判断することができます。

下図は漏水時における埋設管に取付けた流量センサーの値とデジタルツインの結果を比較したグラフになります。

漏水時の流量変化(実機センサーのみ)


漏水時の流量変化(実機センサーとデジタルツインの結果)


ステップ3:漏水箇所の特定

仮に埋設管の漏水の検知ができても、漏水箇所の特定が困難な場合があります。

しかし、配管流動デジタルツインでは漏水が起きている状態の管路網を仮想空間上に再現することができます。

すると、実機センサーのみでは漏水時の物理的な傾向が分かりづらくても、仮想空間上で再現した漏水時のシミュレーション結果と物理的な傾向を比較することで、漏れ箇所の特定や範囲の絞り込みを行うこともできます。

下図は、管路に取付けた流量センサーの時間変化を表しており、この時管路網のいずれかで漏水が発生しております。

実機の流量センサーのみでは、どの区間から漏れが発生しているか判断ができませんが、配管流動デジタルツインでは仮想空間上で配管の各区間で漏れを再現できます。

そしてデジタルツインの流量変化の傾向から、どの区間で漏水が起きているか絞り込みができます。

漏水が起きた時のある区間での流量変化(実機センサーのみ)


漏水が起きた時のある区間での流量変化(実機センサーとデジタルツインの結果)


伊藤忠テクノソリューションズの1次元熱流動シミュレーションとデジタルツインサービスのご紹介

伊藤忠テクノソリューションズでは、1次元熱流動シミュレーションについてソフトウェアの提供とサポート、解析サービスを提供しています。

また、デジタルツインに関するソリューションの提供や、セミナー等による情報発信も行っております。

今回ご紹介しました1次元熱流動シミュレーションによるデジタルツインの詳細については、下記資料をご覧ください。


まとめ

本記事では、1次元熱流動シミュレーションによるデジタルツインについて以下の内容を紹介しました。
 
・デジタルツインと1次元熱流動シミュレーションの説明
・配管流動デジタルツインのメリットと活用例
・伊藤忠テクノソリューションズのサービスのご紹介
 
配管流動デジタルツインの活用として、埋設管の漏水検知や漏水箇所の特定についてご紹介しました。また将来の展望として、AIや可視化ツールと連携した技術にも期待ができます。

今後も、このようなシミュレーションを駆使したデジタルツインのサービスについて展開して参りますので、是非ご期待ください。


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