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確率要素を含むシステムのシミュレーションの意義とは?

シミュレーションとはラテン語の「simil」(似ている)を語源に持つ言葉で、日本語では「模擬実験」などの意味を持ちます。

シミュレーションは、対象システムそのものではなく、対象システムを抽象化したモデルを使って実験を行うことを指し、対象のシステムについて知見を得るために利用します。

対象のシステムではランダムに何かが起こったり、ある確率分布に従って何かが起こるなど「確率要素」を含むことがあります。

本記事では確率要素を含むシステムのシミュレーションの意義について解説いたします。


目次[非表示]

  1. 1.シミュレーションを行う理由
  2. 2.シミュレーションの種類とシミュレーションソフト活用の理由
  3. 3.確率要素を含むシステムのシミュレーション
  4. 4.意思決定の根拠
  5. 5.伊藤忠テクノソリューションズのIntelligentTwinサービス


シミュレーションを行う理由

シミュレーションの対象は、人口増減や交通、社会現象、生産・物流などの企業活動など社会的なシステムから、化学工学・物理学的な挙動のものまで広範にわたります。

なぜシミュレーションを行うかというと、様々な制約によって実システムでは検証ができないからです。

例えば、実システムで試すには膨大な費用が掛かり現実的ではないことがあります。コンピュータで行うシミュレーションの場合、PCの利用費や電気代、人件費のみで済み費用的に効率が良いです。他には時間的制約もあります。

シミュレーションモデルを作ることに時間はかかりますが、それでも実システムで試行するよりは圧倒的に短時間であることが多いです。

さらに、複雑すぎて人間では処理ができない場合にコンピュータの計算能力を使用したり、定量的に評価することを目的でシミュレーションを行うことがあります。


シミュレーションの種類とシミュレーションソフト活用の理由

シミュレーションには、実物を使ったシミュレーションや実物よりも小さい(あるいは大きい)モデルを使ったものがあり、これらは現実の物体を使うことで物体のシミュレーションと分類されます。

一方、現実の物体を使わずに計算機上で行うシミュレーションがあり、微分方程式などで記述される連続型のシミュレーション、時間経過に伴い変化するシステムを観察する離散型のシミュレーションがあります。検証したいシステムに応じて手法を使い分けていきます。

プログラムを書いてシミュレーションをすることもできますが、シミュレーションソフトを使うことでシミュレーションにかかる費用、時間のコストが縮小し、効果もあがります。

シミュレーションソフトの中には、確率要素を含むシステムをシミュレーションすることができるものがあります。


確率要素を含むシステムのシミュレーション

さて、単純なシステムでも、確率要素を含むと挙動の予測が一気に困難になります。確率要素を含むシステムの検証の難しさの例をご紹介します。


例えば図のような工程1(処理時間1時間)、工程2(処理時間1時間)で製品を処理し、製品を出荷する製造ラインを考えます。

1ヶ月を720時間(=24時間×30日)とした時、出荷数とリードタイムはどうなるでしょうか。 1ヶ月の出荷数:720個、材料到着~製品出荷:2時間とすぐに計算できると思います。


一方、図のように工程2の処理時間を1時間から「0.5~1.5時間の一様分布」とした場合、どうなるでしょうか。

答えは、1ヶ月の出荷数:640個、材料到着~製品出荷:平均2.12時間となります。一様分布という簡単な確率要素がひとつ含まれるでイメージするのが難しくなると思われます。


さらに、工程1と工程2の間に容量1のバッファを設定した場合どうなるかというと、1ヶ月の出荷数:697.5個、材料到着~製品出荷:2.55時間となり、頭の中だけでの計算は困難になります。

確率要素は少しでも含まれることで、問題の検証が難しくなり、コンピュータの計算技術を借りることが必要になります。


意思決定の根拠

確率が含まれるシステムの定量評価を人間が机上で行うのは難しいですが、シミュレーションソフトでは簡易に行うことができます。

自然環境や技術環境、労働環境など変化が大きい昨今のビジネス現場では、継続的なシステムの改善あるいは革新が必要になることが多いです。

意思決定の根拠を導く手段のひとつとして、シミュレーソフトの活用をご検討してみてはいかがでしょうか。


伊藤忠テクノソリューションズのIntelligentTwinサービス

伊藤忠テクノソリューションズでは、『IntelligentTwinサービス』を展開しています。


製造業を中心に多くの企業がデータの蓄積・活用先としてデジタルツインに積極的に取組んでいますが、「使用するデータが不足している」「取得できないデータがある」「分析技術が足りない」などの課題が挙げられます。

IntelligentTwinサービスでは、これらの課題に対して、AI、シミュレーション、数理最適化を組み合わせて、最適な価値を提供します。

また、生産性向上や新規設備投資計画、人員配置最適化などの課題に対しては、適切な手法の選定から運用フェーズでのモデル精度維持まで、さまざまな形でご支援いたします。


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