耐震解析とは?水道施設を例に耐震工法指針・モデル化例をご紹介
水道施設の耐震解析とは、地震時に水道施設がどの程度耐えることができるかを評価します。水道施設が耐震性を有しているか、対策・改修の必要性の判断のために、この評価は非常に重要です。
最新版の水道施設耐震工法指針・解説2022年版では、耐震性能の判断方法やモデル化手法についての変更点があります。
この記事では、最新版である水道施設耐震工法指針・解説2022年版の内容に従い、水道施設の耐震解析について解説します。
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水道施設の耐震解析とは?
水道施設の場合、地震による被害が起きると、水の供給が停止する可能性があります。そのため、水道施設の耐震性を高めることは、地震発生時に水利供給を維持するために非常に重要です。
耐震解析によって、構造物の強度や耐震性能が評価され、必要な補強措置や改修計画を立てることで、地震時にも安定した水の供給を確保することができます。
引用元:公益財団法人 日本水道協会
水道施設のモデル化手法
モデル化手法は、構造物の特性や解析の目的に応じて選択する必要があります。
例えば、小規模な施設やシンプルな構造の場合には、簡易な解析手法である静的線形解析を選ぶこともできます。一方、より複雑な構造や大規模な施設の場合には、静的非線形解析や動的非線形解析が必要になります。
動的非線形解析は、液体要素なども考慮して構造物の地震時挙動を評価することができるため、より正確な結果が得られます。
一方で、静的解析においてはバルジングの影響が考慮されていないため、動的非線形解析に比べて結果の精度が落ちます。
また、解析結果の信頼性を高めるために、現地調査や実測データの取得も重要です。
水道施設耐震解析の解析手法
各解析手法について説明します。
静的線形解析の特徴
静的線形解析は、構造物の応答を線形の振動方程式に基づいて計算する手法です。この解析手法は、地盤の安定性が確保されており、施設規模が小さい場合等に使用されます。
静的非線形解析の特徴
静的非線形解析は、材料の非線形性を考慮する手法です。この手法は、複雑な構造や複数の挙動モードを持つ構造に適しているため、より高度な耐震性能評価に使用されます。
動的非線形解析の特徴
動的非線形解析は、地震時の構造物の応答を時間領域で解析する手法です。この手法は、材料の非線形性を考慮し、地震時の耐震性能を評価する際に使用されます。
水道施設耐震工法指針・解説2022年版の変更点
水道施設耐震工法指針・解説2022年版が公開されました。この改定版では、耐震解析に関するいくつかの重要な変更点が追加されています。
従来の指針では、静的解析での評価が主流でしたが、静的解析の適用範囲が限定され、動的解析による耐震計算が主となりました。
さらに、危機耐性の観点が新たに導入されました。耐震設計において、想定外の状況や災害への対応能力を考慮することで、水道システムに与える影響や社会的影響を最小限に抑えることが可能になります。
この観点を導入することで、耐震対策の範囲がより広がり、さまざまな状況に柔軟に対応できるようになります。
引用元:公益財団法人 日本水道協会
伊藤忠テクノソリューションズの自然災害に関するソリューション
伊藤忠テクノソリューションズ(以下、CTC)では、地震災害、土石流、土砂崩などの自然災害に対する防災・減災、インフラの老朽化に対するメンテナンスに関わる解析ソリューションを提供しております。
▼解析ソリューション例
ソリューション名 |
特徴 |
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SoilPlus(地盤・浸透・耐震統合解析システム) |
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UDEC/3DEC(2次元/3次元個別要素法解析プログラム) |
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FLAC/FLAC3D(2次元/3次元有限差分法解析プログラム) |
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PFC(2次元/3次元粒状体挙動解析プログラム) |
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また、防災・減災・メンテナンスに関わるソフトウェアの開発、販売だけでなく、それらのソフトウェアを利用した受託解析や、ソフトウェアのご使用に際しての技術サポートも行っております。
詳しくは下記資料をご参照ください。
まとめ
この記事では、水道施設の耐震解析について以下の内容を解説しました。
• 水道施設の耐震解析とは?
• 水道施設のモデル化手法
• 水道施設耐震解析の解析手法
• 水道施設耐震工法指針・解説2022年版の変更点
水道施設の耐震解析は、水道システムの安全性を保つために欠かせないものです。
地震被害を受けた場合、水道施設が機能しなくなると、水の供給がストップし、住民の生活にも多大な影響を及ぼします。
新しい耐震指針に則り、耐震性能の判断や改修を行うことが重要です。
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