火力発電プラント効率化の鍵は熱流体解析?課題や性能評価方法をご紹介
我々の暮らしには電気が不可欠であり、火力発電の重要性は言うまでもありません。火力発電においても効率的に電力を発生できる発電プラントが求められます。そこで熱流体解析が重要な役割を果たします。
本記事では、最近新設される火力発電プラントの特徴や、燃焼から発電まで最適な性能評価を可能にする熱流体解析について説明します。
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火力発電の重要性
火力発電は、日本における電力供給の中で重要な役割を果たしています。さまざまなエネルギー源の中でも、石炭火力、LNG火力、水力、新エネルギー、原子力などがありますが、火力発電は特に供給量の大部分を占めています。
最近新設される石炭火力発電所では、超臨界圧ボイラーを使用して効率的に発電を行い、LNG火力発電所では、コンバインドサイクル発電を採用しています。これらは、電力の需要を満たすだけでなく、温暖化対策やエネルギー効率の向上といった観点でも重要です。そして、火力発電は安定的に電力を供給することができるため、私たちの暮らしにとって欠かせないものなのです。
火力発電プラントの特徴
火力発電は、日本における電力供給の約70%を占める重要な発電方法です。最近の発電所建設は、大きく二つに分けられます。
まず、石炭火力発電所では、超臨界圧ボイラーが採用されています。このボイラーは、水を臨界圧力以上に高めることで、高い効率で発電できる特徴があります。一方、LNGを燃料とする発電所では、コンバインドサイクル発電が主に採用されています。
コンバインドサイクル発電は、ガスタービン発電と蒸気タービンを組み合わせて効率的に発電を行う方式です。この方式は、二重の発電サイクルを持ち、燃料の熱エネルギーを最大限に利用することができます。燃焼ガスがガスタービンで発電するだけでなく、その熱を使って蒸気を発生させ、蒸気タービンでも発電することができるのです。このようなシステムは、省エネルギーかつ環境にやさしい発電方法として注目されています。
火力発電プラントの効率向上のための課題
石炭火力発電、コンバインドサイクル発電のどちらの方式もより効率的な発電を目指しているため、設計段階でシステム全体の効率を検討することが重要です。
効率の検討のためには、熱流体解析を使用することが有効です。熱流体解析によって、発電プラントの各機器や配管内の熱流体の挙動の評価が可能となります。この解析により効率的な発電プラントを設計することが可能になります。また、冷却塔や過熱器などの設備においても、熱流体解析により効果的な設計を行うことができます。
そのため、プラントの設計や改良に際しては、熱流体解析を活用することでより効果的な設計や改善策を見つけることができます。
熱流体解析による性能評価
熱流体解析を活用することで、より効果的に設計を行える、改善策が見つけられるといったことをご紹介しました。
ここではSimcenter Flomasterというソフトウェアを使用し、性能評価を実施することで得られる利点について説明していきます。
まず、Flomasterによる解析の利点は何でしょうか?Flomasterは発電プラントの要素を適切にモデル化することができ、低コストで解析を行うことができます。また、水の沸騰遷移や超臨界圧ボイラーの評価も行うことができます。さらに、NISTが作成する冷媒熱物性データベースのREFPROPも使用できるため、より正確な解析が可能となります。
具体的な熱流体解析の例として、Flomasterによってモデル化された火力発電所の熱サイクルの評価が挙げられます。解析結果は図示され、熱エネルギーや仕事の予測にも役立ちます。また、発電プラント用の要素の解析結果を見れば、水蒸気と水の割合がわかります。これにより、各機器の仕様検討に役立ちます。
図 火力発電所のモデル化例
図 火力発電所の解析結果の出力
Flomasterを使用した熱流体解析による性能評価は、効率的な発電プラント設計において重要なものとなります。
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まとめ
火力発電は日本の電力供給において約70%を占めている非常に重要なものです。
火力発電プラントの熱流体解析は、プラントの効率向上や環境負荷の軽減に不可欠です。そして、Flomasterを使用することで、熱サイクルの解析や機器の仕様検討が容易になります。熱流体解析による性能評価の重要性を理解し、効果的な解析ツールを活用することが、効率的な発電プラントの実現につながります。
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