個別要素法・有限体積法で挑む最新の自然災害対策。そのメリットは?
数値解析法の高度化により、近年増加している地盤災害、斜面崩壊等の自然災害の事象は解析シミュレーションが可能となってきています。シミュレーションには、安全性の向上他、様々なメリットがあります。
本記事では個別要素法(DEM)他、最新の解析手法の活用事例とそのメリットをご紹介いたします。
目次[非表示]
- 1.自然災害と解析シミュレーションの重要性
- 2.個別要素法(DEM)の活用
- 2.1.斜面崩壊の予測
- 2.2.地盤変形の解析
- 2.3.亀裂進展のシミュレーション
- 2.4.対策工の評価
- 3.有限体積法(FVM)の活用
- 4.解析シミュレーションのメリットと理想的社会の実現
- 4.1.リスク評価の精度向上
- 4.2.コスト削減
- 4.3.安全性の向上
- 5.伊藤忠テクノソリューションズの自然災害に関する個別要素法(DEM)、有限体積法(FVM)ソリューション
- 6.まとめ
自然災害と解析シミュレーションの重要性
近年、地球温暖化や異常気象の影響で、自然災害が増加しています。特に、地盤災害や斜面崩壊、斜面安定、岩盤の亀裂進展、洗堀、地盤変形などの問題が深刻化しており、これらの災害に対する対策が急務となっています。
例えば、2011年の東日本大震災や2018年の西日本豪雨など、大規模な自然災害が頻発しており、これに伴う地盤災害や斜面崩壊等のリスクが高まっています。
これらの問題を解決するためには、解析シミュレーションが非常に有効です。シミュレーションを行うことで、災害の発生前にリスクを評価し、適切な対策を講じることが可能となります。
例えば、斜面の安定性を評価するためのシミュレーションや、地盤の変形を予測するためのシミュレーション、それらを防ぐための対策工の評価のためのシミュレーションなどが挙げられます。これにより、災害の発生を未然に防ぐことができ、被害を最小限に抑えることができます。
個別要素法(DEM)の活用
個別要素法(DEM)は、粒状体の挙動を解析するための手法であり、土粒子や砂、粉体などの流動・混合挙動をシミュレートします。これにより、変形から破壊、亀裂の進展、崩壊といった非連続体挙動解析が可能です。
実際の災害や防災の現場では、以下のような事象に対して有効です。
斜面崩壊の予測
斜面の安定性を評価し、崩壊のリスクを予測することができます。これにより、事前に対策を講じることが可能となります。
地盤変形の解析
地盤の変形を予測し、建物やインフラへの影響を評価することができます。これにより、適切な補強対策を講じることができます。
亀裂進展のシミュレーション
岩盤や地盤の亀裂進展をシミュレートし、崩壊のリスクを評価することができます。これにより、事前に対策を講じることが可能となります。
対策工の評価
斜面崩壊、地盤変形、亀裂発生・進展を防ぐための対策工を設置した場合のシミュレーションができます。これにより、対策工の有効性を評価できます。
有限体積法(FVM)の活用
有限体積法(FVM)は、地盤工学解析において非常に有効な手法です。この手法を用いた解析プログラムでは、地盤の大変形、斜面安定、液状化現象などの解析が可能です。
実際の災害や防災の現場では、以下のような事象に対して有効です。
斜面崩壊の予測
斜面の安定性を評価し、崩壊のリスクを予測することができます。これにより、事前に対策を講じることが可能となります。
地盤変形の解析
地盤の変形を予測し、建物やインフラへの影響を評価することができます。これにより、適切な補強対策を講じることができます。
液状化現象の解析
地震などの影響で地盤が液状化する現象を解析し、そのリスクを評価することができます。これにより、事前に対策を講じることが可能となります。
対策工の評価
個別要素法(DEM)ソフトと同様に、対策工を設置した場合のシミュレーションができます。対策工の有効性の評価が可能です。
解析シミュレーションのメリットと理想的社会の実現
これらの解析シミュレーションを実施することで、実現場で設計、施工する建設コンサルタントやゼネコンの技術者、最終的には一般の方々にも多くのメリットがもたらされます。
具体的には、以下のようなメリットがあります。
リスク評価の精度向上
解析シミュレーションを実施ことで、災害のリスクを評価することができます。これにより、適切な対策を講じることが可能となり、被害を抑えることができます。
コスト削減
事前にリスクを評価し、適切な対策を講じることで、災害発生時の被害を抑えることができるとともに、対策にかかるコスト削減にもつながります。
安全性の向上
解析シミュレーションを実施することで、建物やインフラの安全性を確保することができます。これにより、住民や利用者の安全を守ることができます。
このような解析シミュレーションの進化により、自然災害のリスクを事前に評価し、適切な対策を講じることで、災害による被害を最小限に抑えることができる社会が実現します。これにより、住民や利用者の安全が確保され、安心して暮らすことができる理想的な社会の実現が可能です。
伊藤忠テクノソリューションズの自然災害に関する個別要素法(DEM)、有限体積法(FVM)ソリューション
伊藤忠テクノソリューションズ(以下、CTC)はITASCA社製の個別要素法(DEM)、有限体積法(FVM)解析ソフトウェアを販売、それらを使用した受託解析サービスを提供しています。
ITASCA社製ソフトウェアは地球科学および地球工学分野で現れる混相流流れと粒状体挙動の解析が可能な、地盤工学解析において非常に有効なツールです。特に、FLAC2DおよびFLAC3Dは、有限体積法(FVM)を用いた地盤工学解析プログラムであり、地盤の変形、斜面安定、液状化現象などの解析が可能です。
また、個別要素法(DEM)を用いたPFC(Particle Flow Code)や3DEC(3-Dimensional Distinct Element Code)も提供しており、これらのソフトウェアは地盤・岩盤等、非連続体の挙動解析に優れています。
変形から破壊、亀裂の進展、崩壊等の挙動が解析可能です。これらのソフトウェアは、資源・エネルギー開発、土木(防災)、環境問題だけではなく、機械工学(土木・建設・農業・食品機械)など、さまざまな分野で利用されています。
これらの解析ソフトウェアを使用することで、技術者はより高度な解析が可能となり、災害リスクの評価や適切な対策の立案に役立てることができます。
まとめ
自然災害の増加に伴い、地盤災害や斜面崩壊、斜面安定、岩盤の亀裂進展、洗堀、地盤変形などの問題に対する解析シミュレーションの重要性が高まっています。
従来の有限要素法(FEM)では対応しきれない不連続体の挙動を正確にシミュレートするためには、個別要素法(DEM)や大変形が考慮できる有限体積法(FVM)などの解析技術が有効です。これらの解析技術を用いることで、災害のリスクを評価し、適切な対策を講じることが可能となります。
個別要素法(DEM)や有限体積法(FVM)の解析ソフトウェアを活用することで、より高度な解析が可能となり、技術者の皆様にとっては非常に有益なツールとなります。
これにより、建設コンサルタントやゼネコンの技術者だけでなく、一般の方々にとっても多くのメリットがもたらされます。具体的には、リスク評価の精度向上、コスト削減、安全性の向上などが挙げられます。
解析シミュレーションの進化により、自然災害のリスクを事前に評価し、適切な対策を講じることで、災害による被害を最小限に抑えることができる社会が実現します。これにより、住民や利用者の安全が確保され、安心して暮らすことができる理想的な社会の実現が可能です。
【関連記事】